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塾生インタビュー #9-1
■創像工房・創像工房「旧・日本終焉○劇」
 スタッフ:岡野勇さん・伊藤稚怜さん

今回はスポットをあてるのは10月2日から日吉キャンパスアトリエで公演される創造工房による「旧・ニッポン終焉○劇」。今回の公演には2001年度ミス慶応の青木裕子さんが演劇に初挑戦する。脚本家そして役者、さまざまな視点から演劇というものに対する思いを語ってもらった。

はじめに紹介するのは今回の芝居の脚本、演出を担当する岡野さんと製作の担当である伊藤さん。



■敢えて縛らないことにより生まれる本当のリアルさをもとめて

□ タイトルの○(マル)劇にこめた思い
伊藤「タイトルの○劇ってあると思うんですけど、この○には何が入ってもいいんですよ。悲劇とか喜劇とか。ただそういうものにあまり縛られたくはなかったんですね。勇(岡野氏)の意識としては。これまでの創造(工房)っていうのはコメディーというかあまりに笑いに偏ったところがあったりだとか、メッセージ性をあまりにうちだしていないところがあったりすることがあったんですが、そういうのを敢えて○っていう言葉で縛らないようにしたってところがあります。」

岡野「芝居ってすごい不自由そうに見えるんですけど、観客は目の前にいるし。ただ僕からすれば逆に一番自由なんですよ。縛りがあるからこそ見ている側からしても縛りって言うものの意識があって、空間が飛んでも、時間が飛んでも受け入れてくれるんですね。縛りっていうのがあらゆる表現要素をすべて内包できる媒体であると僕は思っているので。そういうすべての要素を、人の心がブンッって揺れる瞬間のすべての要素を内包させてこういうタイトルをつけました。メッセージとかいうのは作りてのエゴだと僕は思っているので。勝手にメッセージをもった上で書くと、それは勝手にテーマっていうものに消化されると思うんですね。結局舞台の上には僕はいないんですよ。」

□ 世界がおわるっていってもそんなに大したことじゃない
伊藤「これ一応ニッポン終焉というタイトルにあるように日本が1回終わる話なんですよ。はじめこの芝居について説明している岡野の言葉で印象に残っているのが、”死ぬ準備はできてるか?”っていう言葉なんです。今日に似た日がずっと続きますよってところが崩れたときに、果たしてあんたは死ぬ準備ができてるのっていう。」

岡野「あとまぁそれを単純に重くとらえるのもいやで・・。世界が終わるとかいうと普通の人はなんとかしなきゃって感じでとにかく熱いんですよ。でも僕がシュミレートした限り、はじめの1週間くらいがんばろうと思うんですけど、そのスパンが長いとするとだんだん飽きてくると思うんですよ、そういう日も。たとえば1年後とかだったら毎日1個1個プラスにしていこうとか、そのレベルだと思うんですよね。でもちょっとがんばろうかなって思うはずなんですよ。世界が終わるみたいなことをいっちゃったからすごく重く感じる人もいるのかもしれないけど、本当にすごいポップでライトでそれでいて笑える話だと。またそれこそが、ライトなのが本当の姿だと思いますね。」

□ 本当のリアルって不自然であっておもしろい
岡野「普段たとえばいきなりバタッてこける人もいるし、普通に大きな声で歌いだす人もいるし、っていうのが本当のリアル。本当のリアルっていうのが一番みんなが思う不自然であっておもしろいことであると僕はおもっているので。だから変にきどって大きく動いたりとか、大きな声だしたりとか、普段ないことやったりだとか、普段なくあせったりとかとするのは全然おもしろくない。だから芝居の中ではそういう嘘はつかない。」
□ 演劇の教科書になんかのってない。
でも観客は笑ってくれる。それでいいと思う。

岡野「演劇の先生がこの台本読んだら100%やぶりますね。前回のもたぶん破られたり、燃やされたりすると思うんですけど、でも実際見たお客さんはすごい笑ってくれたので。本当に演劇の教科書にない、たぶんみたこともないような構造ですし、ぶっとびかたですし(笑)。夏休みあけてすぐですが、すごいひろい言葉でいえば”あっ、がんばろう“って思うはずなので是非みにきてください。」


出演する 篠崎さん・青木さん・堀田さんへのインタビューはこちら


取材   南郷史朗
吉川英徳



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