三田祭実行委員会委員長 山内一将さん
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第47回三田祭実行委員会
委員長

山内一将さん(文4)

◆特集 - 第47回三田祭

慶應の秋を彩る大イベントといえば、三田祭である。来場者数20万人と、日本一のスケールを誇る学園祭。そこには様々なドラマがあり、多くの想いがこめられている。今回は、三田祭特集第一弾として、第47回三田祭実行委員会委員長山内一将さん(文学部4年)にお話を伺った。

■三田祭公式サイト
http://www.mitasai.com/

■塾生自らが作り上げる三田祭

三田祭実行委員会委員長山内さん

―まず、三田祭とはどういったイベントであるのかを教えてください。
三田祭は、今年で47回目を迎える慶應義塾大学の学園祭です。その一番の魅力は、開催日数4日間、来場者数20万人という日本最大級のスケールにあると思います。また、他の大学の学園祭と比べて、ゼミの発表企画が一番多いのが特徴です。

―非常に大きなスケールであると思いますが、三田祭はどのような理念に基づいて行われているのですか?
慶應義塾大学には独立自尊という精神があります。それに基づいて三田祭では「塾生主体」という理念が掲げられています。このことから、三田祭は塾生の手によって創り上げられるものであると考えており、このスタンスは昔から変わっていません。ですので、三田祭を運営するにあたって大学側から一切補助を受けておらず、またその費用を三田祭に参加する塾生に分担していただいています。

■三田祭を大いに盛り上げる

三田祭実行委員会委員長山内さん

―三田祭実行委員会といえば、赤いハッピを着ている人たちというイメージがあるんですが、具体的にはどのような活動をしてらっしゃるんですか?
三田祭実行委員会は、三田祭の安全かつ円滑な運営というものを第一の目標として活動しております。具体的な活動内容としては、関係各所・大学側との交渉、参加団体の方からお預かりしている資金の管理、参加団体間の調整、インフラ面でのサポート、三田祭の魅力を幅広く学内外に伝える広報宣伝活動、参加団体の負担を軽減するための渉外活動、そして、三田祭を盛り上げるイベントを自分たちで実際に企画運営するということが挙げられます。

―三田祭を通して慶應義塾をこのように盛り上げていきたいというような想いはありますか?
私たちは参加団体の方々をサポートするという点をたいへん重要視しています。ですから、私たちが何か目標を掲げて塾生の方々を導いていくのではなく、目標に向かって活動する塾生の方々をいかにサポートするか、ということに力を注いでいます。私たちがどう盛り上げていくか、というよりも、塾生の盛り上がりをどうサポートするのか、ということが大切だと思っています。

■実行委員だからこその充実感

―次に、山内さんが三田祭実行委員会に入られたきっかけを伺いたいと思いますが、どんなきっかけで入られたんですか?
言葉では表せない充実感を味わいたかったということが一番の理由です。その背景として高校三年生のときの文化祭があります。友達に誘われて、面白そうだったので、実行委員として文化祭のお手伝いをしました。最初は祭りの表舞台に出て派手に取り仕切るのかと思っていたんですが、実際は全然違って、校舎の裏で延々と運営の準備をしていました。それで、「何だこんなつまんない事は二度とやらないぞ」と思ったんです。でも文化祭がすべて終わったあと、なぜかそこには言葉では表せない充実感がありました。つまらないと思っていたのに、不思議な充実感が体に満ちていて、つまらない思いはどこかに消えてしまったんです。そんなことを思い出しながら、たまたまオリエンのパンフレットをみていたところ、三田祭実行委員会をみつけました。そして、開催日数4日間・来場者数20万人だということを知り、高校のときよりも大きい感動を味わえるのではないかと思って三田祭実行委員会の門を叩きました。

三田祭実行委員会委員長山内さん

―三田祭実行委員会に入って、何か得たことはありますか?
三田祭実行委員会では、会社を訪問したり、塾生と話し合いをしたりするなど、様々な人にお会いする機会があります。その中で、自分よりも相手の立場に立って活動する精神を学んだことが一番大きいです。実際に、参加団体の方であったり、来場者のことを考えたりしなければいけません。塾生、来場者、そして私たちの3者全員が満足できるということ、自他共に三田祭に関わるすべての人がどうすれば満足するのか、ということを常に考えています。

―やっぱりそういうことって他のサークルでは身につかないですよね。
そうですね。他のサークルですと、自分がやりたいからその活動をしているんだと思います。それに対して私たちは、他者のやりたいことを支えるために活動しています。その点が大きな違いですね。

■黒板にあった「ありがとう」の言葉

―三田祭実行委員会として活動していて、感謝されたなど思い出に残るエピソードがあったら教えてください。
私の中で一番印象的だったのが、卒業された先輩のエピソードです。三田祭終了後に各教室の片付けが行われているかをチェックしていた時のことだそうです。ある教室の黒板に、その先輩が担当をしていた参加団体の方から「ありがとう」というメッセージが残されていたそうです。それがとても印象的だったとおっしゃっていましたね。

三田祭実行委員会委員長山内さん

▲実行委員の着るハッピには、
先輩からの熱いメッセージが沢山刻まれている。

―では、山内さんが三田祭実行委員会を長く続けてこられた理由は何でしょうか?
やはり三田祭の成功という同じ目標に向かってきた仲間の存在が一番大きいですね。三田祭が終わった後、そのときの4年生は、終わった瞬間に引退することになっています。狭い部室に委員全員が集まり、4年生だけが赤いハッピを着て引退の挨拶をしていきます。私が1年生のとき、当時の4年生が人目もはばからずに涙しながら最後の言葉を述べる姿を目のあたりにし、とても感動しました。それを経験してから、もうこれは他に代えられるものがないな、続けていくしかないなと思いました。

―三田祭実行委員会といえば、あの赤いハッピですよね。すごく感動的なメッセージがたくさんありますよね?
卒業されていく先輩方が、三田祭終了後にメッセージを書いてくださるんです。

―もしもの話ですが、三田祭実行委員会に入っていなかったら、今頃どうなっていたと思いますか?
もし入っていなければ、かけられるものがない、つまり目指すべきものがないという状況になっていた可能性もあります。そういった状況だとあまり好ましくない、毎日を惰性で過ごしている日々が続いていたかもしれないかなと思います。

―ということは、目指すべきものがあってよかったということですかね?
どんなことに関しても、何かに打ち込めているときは、人間って成長していると思います。大学生活って何をしても自由じゃないですか。自分がこういう活動をしていなかったら学べなかったことってたくさんあるだろうし、この活動が本当に好きで続けてきたからこそ、今の自分があるんだと思います。ただ続けていても意味がなくて、何に対しても本当に好きで続けて頑張っていることだったら、それなりのものを得られるでしょうね。

■塾生の様々な想いを肌で感じてほしい

三田祭実行委員会委員長山内さん

―今年の三田祭の見所と言えば、どんなところですか?
三田祭に参加する塾生の立場から見ると、今年の三田祭の1つ1つの企画が見所だといえますね。塾生の想いはそれぞれ多種多様で、どれもこれも楽しめる企画だと思います。

―最後に、塾生・塾員といった来場者のみなさん、そして今年初めて三田祭に参加する1年生に向けてメッセージをお願いします。
塾生の様々な想いを肌で感じてほしいということに尽きますね。自分たちの日ごろの活動の成果を三田祭という場で初めて発表する塾生もいれば、学生生活における最後の発表をする塾生、そして仲間とともに思い出を残したいという塾生もいます。その各々の想いや魅力を来場者や塾生の方々に、実際の目で確かめていただければと思います。また、一年生に対しては、せっかく慶應義塾に入ったのであれば、一度は三田祭を訪れて卒業していってほしいです。三田キャンパスはあまり広いキャンパスではではありませんが、そこに多くの人が集まって歩けないほどの盛り上がりになるので、塾生であるならばその盛り上がりを一度は経験してほしいなと思います。