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塾生インタビュー #7
■体育会スケート部ホッケー部門
 Part.2

昭和二年創設
現在、関東大学リーグ二部に所属
部員数23名
主将 増子修平

公式サイト http://www.hockeynuts.org/~keio/



■個人が独立していること

−−−取材も半ばを過ぎ、増子主将のチームマネジメントに話が及んだ。彼の語る理想のチーム。それは、旧来の体育会のイメージとは一線を画すものであった。

―チームマネジメントをしていく上で、どんなチームを『良いチーム』と考えられていますか?

 増子 個人が独立していることです


―個人が独立しているとは?

 増子 僕らは勝つということですが、組織としての目標を共有することです。でも、別に全員が同じ方向を向く必要もなくって。僕や副将の門倉が上級生からよく言われていたことなんですが、僕らの学年って全員出身校や経歴といったバックボーンが違うんです。それで、結構サバサバしている学年なんで、あまり一緒にいることがなく、いわゆる、体育会的な横の繋がりが全くなくて。

 でも、僕らの考えとしては、先ほど言ったとおり個人が独立していていて、それで目標が共通していれば、そこに至るプロセスはどうでも良いんじゃないかと思っていて。個人がそれぞれのプロセスで最終的にいいものを出せれば良いと考えています。いわゆる体育会的な何から何まで一緒じゃなきゃいけないっていうのは今年のうちのチームには当てはまらないですし、僕と門倉はそういうポリシーでやっています。

 個人の責任に任せて、チームが最低限機能するための目標だけは設定しておく。そういう方向付けが僕と門倉の仕事で、そうやって上手く回っているのが僕らの学年にとっての理想のチームです。


―その手ごたえは?

 増子 今のところ、上手くいってると思います。




信田憲司コーチの話

 「慶應の選手は、非常に素直でやるべきことをやっています。練習環境は深夜まで続くなど決して恵まれている方ではありません。ですが、慶應の伝統として、ホッケーだけでなく礼儀といった全人格の成長を尊重する姿勢が貫かれていると感じます。増子主将の指導はよくチームに行き届いていると思いますし、就職などの場面でもその経験が活かされているのではないかと思います。」


−−−増子主将の言葉を聴いて、ある人物を思い出した。それはラグビーの平尾誠二日本代表監督とサッカーの岡田武史日本代表監督だ。彼ら二人の対談中、チームワークについて両者はこう述べていた。

平尾誠二 私が考えるに、チームワークとは、「皆で仲良くやっていこう」とか「和を乱さずに協調してやっていこう」という、日本人の習慣に根ざしたものではなく、(中略)15人いれば、15通りの目的があるはずだ。それをチームとしては許容する。そして共有すべきは「勝つ」という目標だと意識統一する。それが重要だ。

岡田武史 チームワークとは別に勝つために作るものだとは思わないわけ。勝つためにチーム作りをしてきた「結果」だと思うんだよね。「俺、あいつとは気が合わないけれど、あいつにパスを回しておけばいい仕事をするから回そう」みたいな。それは、お互いに気が合うから、仲がいいから、チームワークが出来て勝てるということではなくて、お互いにとっていいプレーをするから認め合う。そして「勝利」という結果が伴う。そうするうちにまとまりも出てくるという流れなんだ。 出典 ”勝利のチームメイク”日本経済新聞社

 この二人の名監督のチームワーク観と同じものを、増子主将をはじめホッケー部は体得していた。方やラグビー、サッカー、そしてレベルは全日本。しかし、勝つという目標を突き詰めたとき、その手法の究極は、種目やレベルの違いを超えて一致するものなのだろうか。そして話題は、それぞれの持つバックボーンへと流れる。



取材   村井裕一郎



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