> 慶應ジャーナル > インタビュー記事 > 塾生インタビュー#6
塾生インタビュー #6
■花火会
 

1997年設立
日本国内唯一の学生花火サークル



プラネタリウムと打ち上げ花火の共通点。
この答えを知っているのは、多分、彼らだけだろう。

夏の風物詩、花火大会が今年も全国各地で開かれている。浴衣に身を包んだ若い女性たちを、電車内でよく見かけるようになった。

全国の花火大会に先駆ける形で、先月、七月五日に行われた第14回SFC七夕祭では、今年も「慶応花火会」の学生達の手によって、七夕祭の目玉ともいえる打ち上げ花火が催された。

慶応花火会はもともと七夕祭実行委員会の仕事のひとつであったものを、七年前に委員会より分離独立し、一サークルとして新たなるスタートを切ったのがそのはじまりである。(慶応花火会の詳細については、花火会HPに詳しい。)

現在のメンバーは10人。
SFC生を中心に構成され、その内の実に7名は女子メンバーである。

七夕祭に向けた準備は四月に新しいメンバーを迎えてすぐに始まる。どんな風に打ち上げ花火を演出するか、配色、大きさ、種類、数などを含めた具体的なプランを立て、事務局と交渉、花火を注文する。また会場となるSFC中高グラウンドの使用折衝、万が一に備えての消防署との連絡など、本番まで様々な仕事が山積する。




しかし何といっても忙しいのはやはり当日。

打ち上げカウントダウンが2時間を切った夕方五時。昼に我々慶応ジャーナルの取材にジョークを交えながら明るく対応してくれた慶応花火会のメンバーの目は、その時には完全に職人のそれに変わっていた。仕込みの終わった大量の花火玉とすべての花火道具をトラックに搭載しグラウンドへ、打ち上げ会場の準備に取り掛かる。

一本一本地面に杭を打ち込み、花火玉を入れる筒を地面に固定してゆく。掛矢を握るメンバーの額に汗が滲む。玉の下に敷き入れる上げ薬の量を誤ったり、点火の際、万が一筒を倒してしまったりすれば致命的大惨事を招くのだ。常に危険と隣り合わせの現場で、慶応花火会は「十年間無事故」を誇る。

「夜空というキャンパスに大輪の花を咲かそう」と抱負を熱く語った花火会副代表の山口健一さん(総4)は、ずばり花火とは?という我々慶応ジャーナルの質問に「花火は僕の生きざまそのものです!」と小気味よい即答をくれた。このプロフェッショナリズム、花火にかける直向な情熱、これが個性の光る10人の学生花火師をひとつに結びつけて最高のパフォーマンスを引き出している。

でも。

まだ、あえて彼らが花火師にこだわる本当の理由は他にあるはずだと踏んだ我々はそれを探るべく取材を続けたところ、学外の花火大会でも打ち上げ師として活躍する井口拓磨さん(経4)がこんな話をしてくれた。



「花火を打ち上げてね、それを真下から見ると、花火に包まれるんです。花火はX軸とY軸だけじゃなくてZ軸があって、つまり球なんですよ。球形の花火の内側は、プラネタリウムみたいなんです。」

夏の夜空に広がる
花火のプラネタリウム。
花火大会で裏方を演じる彼らこそ、実は一番素敵な観覧席にいるのかもしれない。



慶応花火会メンバー
代表   苅谷 花子 (環4)
副代表  山口 健一 (総4)
メンバー 井口 拓磨 (経4)
     岡本 祥公子 (総4)
     鈴木 貴洋子 (総1)
     辻岡 美保 (環4)
     土屋 伸 (環4)
     根本 温子 (環1)
     橋本 涼子 (総4)
     長谷川 綾子 (総4)


取材   岩原日有子



塾生・塾員インタビューTOPへ | 慶應ジャーナルTOPへ