塾生インタビュー #50[08/04/29]

AGE代表 光井勇人さん(総合政策学部 4年)

clip_image002日本を元気にする学生団体「AGE」。
あなたも、どこかで名前を聞いたことはないだろうか。学園祭JACKにフリーペーパーと、最近とても勢いのあるサークル、それがAGEだ。そんな新進気鋭のサークルとその代表の実態に迫るべく、AGEの創立者にして代表の光井勇人さんにインタビューを行った。大学生としての可能性を発信し、日本を元気にしていくというのは一体どういうことなのだろうか。このインタビューを通して、それを感じ取って欲しい。



■今この時代に、本気で

―AGEというのはどういう団体なんですか?

一言で言うと、学生が主体となって日本を元気にする学生団体です。

―AGEの言う「この時代」とはどんな時代ですか?

自分が大学生を4年間やってきて、その間に大きく変わったことが2点あるんじゃないかと思います。

まず、僕が入学した当初はインターンや起業は身近なものじゃなかったんですが、この4年間で学生と社会との距離は近くなりました。そういうのが強まると学生ってつまらなくなると思っていて。学生がビジネスをやることで得られることって限られているし、学生がビジネスを始めるような風潮ができるなら18歳から仕事を始める文化を作ればいいわけで。インターンというのも、内定先を確保したい、社会の一部を構成してみたい、なんて考えている学生を企業が労働力として利用しているように見えます。実際、学生時代のキャリアアップを考えている学生が多いと感じます。自分の個人のキャリアに生きている感覚がより強くなったなと。そのせいか、今の時代はひとつのことに夢中になれない時代だと思いますね。でも、その中で体育会系の学生はすごいと思う。どうすれば自分たちが試合に勝てるかを死ぬほど考えて、ひとつのことに集中してる。その本気さが半端ない。そして成功体験をよく知っているんです。就職についても、コネクションとかよく言われますが、そんなの関係なしに企業が欲しがるのは至極当然ですよ。

そして、もうひとつは、WEB2.0の時代になって、団体とか集団じゃなくても個人でも発信できる時代になったこと。これで、学生団体やサークルに対するインフラ価値は相対的に下がったと言っていいかなと思います。

―なるほど。ではAGEは、その時代に何をしていくんでしょうか?

高校までは、期間限定的に目標がある程度与えられますよね。それは部活動だったり、予備校に行って勉強して大学受験することだったり。それは与えられているものであって、社会にビルトインされているだけなわけです。でも、大学に入った瞬間から、あまりにも選択肢と情報が多すぎるんですよ。で、主体的に自分で目標設定することに慣れていないから混乱する。これは才能とかじゃなくて慣れ・経験の問題で、それまでは親や先生がなんとかしてくれていたから慣れていない。生活費だって親に払ってもらってたわけで。そんな中で、今この時代に大学生として何ができるのか、何かに本気になれる場所を作りたかったんです。それがAGEだった。みんな中高でいろいろやってきたとは思いますが、文科省のレールの上の延長線上で人生の目的を見出すのは難しいと思うんです。AGEは、その目的を定めるために、ひとつのプロジェクトをマネジメントするという成功体験ができる場所でありたい。大学時代というのは、その目的を、つまり自分は何をやって生きていくのかを見定める場所であると思うので。それは大学の中も外も、研究会も勉強も全部含めて、です。

―光井さんはもうその目的を見定められていますか?

そうですね。大学にいるうちはまずAGEをいろんな人に知って欲しいなと。いろんなイベントを同時多発的にやったり、フリーペーパーを作ったりして。このイベントっていうのは非日常的で再現不可能なメディアであって、結局その場に来てもらえなければ共有できないものじゃないですか。そこで、共有しなくてもいいもの、再現可能なものとして考えたのが、フリーペーパーAGEなんです。

■AGEってどんな団体?

clip_image002―AGEの構成はどうなっているんですか?

イベント局、渉外局、メディア局、広報局、事務局という5つの局に分かれていて、その上に代表と2人の副代表がいる形です。基本的に全体ミーティングと局ミーティングがそれぞれ週1回ずつあります。

―複数の局を掛け持ちする人もいるんですか?

一人につきひとつの局ってことでやってます。これは責任領域を明確にするためと、あと掛け持ちをするのはひとつのことをやっている人たちに対して失礼だろうと。なんでもやれる、やるっていうのはアリだけど、それをAGEでやる必要はない。なんでもやりたいんなら新しく立ち上げればいいんですよ(笑)。

―今後AGEはどんどん大きくなっていきそうですね。大変ではないですか?

大きくなるのは確かにやりづらいけど、大きくないとできないものもある。

やりたいWANT、やらなければならないMUST、やるべきSHOULD、この3つを自分たちの中で折り合いをつけて如何にやるかっていうのが大事なんです。結局、学生団体はお金がないからやりたいことをできない。だからこそ、この3つの折り合いをつけていかないとCANになっていかないんです。

―AGEが今までに扱ってきたテーマとして、歌・笑い・セックス・サブカルチャー・政治・プロレス(格闘技)がありますが、これから扱うテーマはどういうものになるんでしょうか?

現在AGEで話し合っていますが、大学生でしかできないもので、大学生がする価値があるようなものをやっていきたいと思っています。

■AGEには才能が必要か?

clip_image004―現在のAGEのスタッフに求めるものは何ですか?

みんなAGEに1年間いて技術面でいろいろ学んだこともあったと思うので、これからみんな先輩になって、後輩にそれを伝えていってほしいなと。そして、それで文化を作っていってほしい。これからはそういうアウトプットをしっかりやっていける団体にしていかなきゃなと思ってます。

―光井さんの才能はなんですか?

最大の才能・武器は、「可能性」を「可能」にするために一生懸命努力できるということです。自分自身の夢のために、期限がある目標を掲げて、それに向かって一生懸命に取り組めること。自分が何をやるんだという明確な意思、それが人生を切り開くものであって、自分の才能です。そもそも、いろんな能力によって光井勇人が構成されていて、その中の、この時代に大学生をやっているという責任感を最大限に利用していく。それがAGEです。

■AGE代表として

―光井さんは、AGEを始める前は何をしていたんですか?

こういうのはAGEでもあんまり喋ったことないんですが・・・(笑)。

まず、大学に入る前から話していくと、高校生の時は超がつくほどの劣等生でした。高3のときには大学受験すらも望めない状況で。それでも必死で勉強して、SFCに入って。大学に行こうと思う前にいくつもの人生の転機みたいなものがあったんですが、まず、このSFCに憧れを持ったんです。SFCでは学部長が一学生に会ってくれて、大学でこういうことをしたいっていう話を聞いてくれる。凄い所だなって。それに、可能性が無限にある場所だなって思って。

で、大学に入ってまず1年生のときに、慶應義塾高校の日吉祭とは違う、大学生による日吉の学園祭をやろうって考えたんです。SFCと日吉、矢上って全く繋がっていなくて。慶應をもっと繋げたかった。日吉は唯一、医学部や理工学部の学生も含めて全員集まっている場所です。その日吉で、みんなが三田とか矢上にバラバラになる前に慶應として繋がるイベントがあったら、何か変わるんじゃないかっていう仮説を立てて。春に日吉で学園祭があったら、絶対面白いじゃないですか。三田祭とは違うものが作れるし。みんながサークルの新歓もやりつつ、グラウンドと校舎、並木道もうまく使って、夜は並木道をライトアップしたり日吉の駅前から並木道に神輿をかついでいったりすることもできる。もしそれが実現できれば、イベントの空間として三田祭よりも楽しいことができると思ったんです。

でも、1年生の夏から秋、春にかけて取り組んだんですが、結局実現できなかった。

僕は高校までは、なんでも不可能なものは可能にしてきたんです。そこで、初めて可能にできなかったことだった。それに、これは一人でやったわけじゃなくて、他の人も巻き込んだ責任もあった。その後ホントにいろいろ悩んで、半年後に、慶應で一番面白いことをやろうと思って、自分が最も人生に影響を受けたGOING STEADY、銀杏BOYZの峯田和伸と元オリコン編集長でオナニーマシーンの猪股昌也のトークイベントを三田祭で企画したんです。そこから紆余曲折を経て、AGEを設立し、今に至るというわけです。

―団体の代表として、どう考えて動いていますか?

学生史上最大の挑戦を如何にして実現するか、そして如何にして実現し続けるかという2点を根底にして動いてます。じゃないと、この時代にAGEをやっていく意味がないと思います。AGE以外にも選択肢はあるし、いろいろやればいいし、いろいろな可能性がある。個人にあったことをやればいい。それはテニスかもしれないし、ビジネスかもしれない。ただイベントという場所であったり、学生でプロジェクトをやってアウトプットをするという面では、学生の可能性って未完であることだと思っていて。未完であるが故に、同時に無責任であること。それが学生の可能性なんです。無責任とはネガティブな意味で言っているんじゃなく、まだ人生が決まっていないが故に、その人の時間をAGEに対して費やしてくれる、そういう彼らの1年間を預かるというのはリスクです。それを背負わなくてはいけない責任がある。

―光井さんは来年が大学生活最後の1年だということですが、その1年でやりたいことは?

AGEを、どこまでも学生にとっても社会にとっても価値あるものにしていくことです。社会にとってというのは、企業にとっての価値というよりも、学生でもここまでできるっていう可能性を証明し続けることで高校生でも大学生でも頑張っているんだなって社会人に思わせられるようにしたいんですよ。

―最後に。AGEは楽しいですか?

楽しかった思い出もたくさんあるし、辛いこともあるし悲しいこともあるけど、楽しみ以上に目の前のことに精一杯やってきました。けど、やっぱり楽しみながらやってきた。死に物狂いで、限界までやるからこそ、楽しいんです。

―ありがとうございました。

慶應の中だけでなく、日本全体に新しい風を吹かせようとしている学生団体、AGE。そのひたむきな活動は、これから何を成していくのだろうか。

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■関連リンク

■学生団体AGE 公式HP
http://www.age-nt.jp/
■AGE×WILLCOM
http://www.willcom-inc.com/ja/ad/age/index_01.html
■AGE OFFICIAL BLOG
http://www.age-nt.jp/age-official-blog/
取材:川島碧、内田彬浩
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