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塾生インタビュー #42 [07/01/17]
■Cytron代表 篠崎友徳さん(理工学部機械工学科4年)

 『11月某日、ジャーナル部員はある人物にインタビューを試みた。広告制作系サークルCytronの 代表・篠崎友徳さん(理工4年)だ。「ミスター慶應コンテスト」に「公夜祭」、「夏音」「アートライブ」など様々なジャンルのイベントを企画・運営し、フリーマガジン「motto-K」を隔月で発行。さらには塾内サークルのTシャツやフライヤーのデザインなども手がけているという。次々に新しいものを生み出し、実行していく人とは、どんな人なのだろう。どんな学生生活を送っているのだろう。想像を膨らませたジャーナル部員の前に現れたのは、周囲の空気をほんわかと、人肌の温度に変える人だった。』



■色んな人がいるコミュニティーって、おもしろい。

塾高出身で、サークルは、総合音楽研究会(注1)とCytronの二つに入っているという篠崎さん。

KJ:総音研とはどんなサークルですか?
――初心者バンドサークル、かな。でも純粋に音楽を楽しみたいっていう経験者も入ってきていて、色んな人がいる。色んな人がいるコミュニティーっておもしろいよね。ライブは結構やっていて・・・月に一回、主に秋葉原の電気屋街ではないほうにある(笑)ライブハウスでやっています。あとは年に一回、横浜や新宿のちょっと大きめのライブハウスとか。総音研では、日吉代表と代表をやったのね。その色んな人がいる中で、サークルを組み立てていく作業をやったから、新しいサークルを作るっていうのも割と取っ付きやすかった。

注1
総合音楽研究会 http://sok2.at.infoseek.co.jp/

篠崎さんの言う「新しいサークル」とは、フリーマガジン「motto-k」の創刊や慶應内で数々のイベントを手がけるデザイナーズコミュニティ・Cytronのことだ。

KJ:Cytronを作った理由を教えてください。
――いくつかあって、まずは…小さい頃から絵を描いたり、物を作ったりするのがすごく好きで、そういうことを将来やってみたいという願望が昔からあったんです。だけど理系に来て、専門的にデザインを勉強する機会には恵まれなかったから、『じゃあ自分達でやってみよう』ってその場を作った感じ。あとは大学三年生の夏に広告代理店のインターンをやって、広告制作に興味を持ったことかな。

KJ:そのCytronが企画したイベントの一つに、「ミスター慶應」がありますよね。
――Cytronは、『今までやったことがないことを片っ端からやっていこう』というのがサークルのモットーなんです。たまたま慶應にミスターがないから、『じゃあCytronがやってみようか』って本当に軽いノリ(笑)。でもやるんだったら、しっかりやろうって。

KJ:「公夜祭」も、Cytronの企画ですよね。
――あれは、三田祭の後夜祭がちょっと、短いなって(笑)。あの時間帯って模擬店の人達は売り切りで忙しいし、室内企画の人達はもちろん外に出て来られないし。塾高には日吉祭っていうのがあって、その後夜祭は体育館にみんな集まってむちゃくちゃ盛り上がるんだ。有名な芸能人をよんだり、企画も凝っていたり。で、そういうものがなんで大学にはないんだ?って(笑)。みんなが参加できる、盛り上がれる後夜祭ほしいねってことで、『公夜祭』。

『今までやったことがないことを片っ端からやっていこう』という考え方、そしてすぐに一歩踏み出してみる実行力。次々に新しいものを生み出す秘訣はここなのか、と感じた。

■ 色んなカラーを、みんな楽しむようになる。

Cytronの話になると「色んな人がいて・・・」と、メンバーの顔が一人一人思い浮かぶのか、優しく語る篠崎さん。ふと、ジャーナル部員は疑問を持った。

KJ:そういう、色んな人をまとめていくのは大変ではないですか?
――まとめる、っていうのは、規律で縛るのもまとめるということだし、極端な話、北朝鮮みたいに『右向け右!』と言ったら千人以上の人がばっ、とそっちの方向を向くようなのもまとまっているっていうこと。でもシトロンの場合は・・・サークル内の「のほほーん」とした空気をすごく大事にしていて。サークルに集まった人たちが絶対やめないようにしたいんです。肌にあわないでやめる人もいるけど、でもそれも年間一人ぐらい。これはたぶん・・・サークルを運営している人たちが、一人一人の顔を浮かべて、サークルの人たちのカラーにあったイベントを色々企画しているからだと思う。あとは、よく面倒を見る(笑)。

KJ:すごくあったかい気持ちになりました!みんなが居心地いいかんじ、ですね。
――そう、居心地がいいことが一番大事。モチベーションが上がるじゃん。絶対に自分のコミュニティーにしか入らない、っていう人は世の中にいないって思う。色んなカラーを、みんな楽しむようになるんだよね。

少し間をおいて、「これはバンドサークルで思ったことなんだけど」と続ける篠崎さん。

――俺はドラマーとして入ったんだけれど、バンドって色んな楽器をやっている人がいるでしょ。一緒にスタジオに入ると、ちょっとギターとかをやってみたくなる。で、ギターの人に話しかけて、練習して、ちょっとギターができるようになったり。つまり、人のカラーを取り込む。色んな人がいたとき、ごちゃまぜにしてしばらく経つと、みんなが混ざっていく。まとめるほうとしてもすごく嬉しいし、やっているほうとしても、多分楽しいと思う。

「強制はかけない。あれやれ、これやれってあんまり言わない。ただ、締めるところは締める。けじめはちゃんとつける。」こう言ったあと、少し表情を緩めて彼は付け加える。 「あとは仲良く、ぬるーく。」

■でこぼこをあわせて

KJ:尊敬している人はいますか?
――総音研を作った、ひとつ上の代の人。俺と似たような考え方なんだけれど、むこうの方が「ぬる〜い」感じ(笑)。こう、のほほーんとしていて、今話した考え方をなんとなく教えてくれた人かな。あと、同列で尊敬しあっている仲だと、シトロンの副代表。お互いに考え方は一緒だけれど、個々の能力がちょっと違う。でこぼこをあわせてうまいことやっていく感じ。自分にないものを向こうは持っていて、向こうも向こうにないものを自分に求めてくれる。お互いの期待や要求に応えられると、どんどん信頼関係が築きあげられていく。そういう関係が今、楽しいね。

形を無理に変えるのではなく、あるがままの、でこぼこをうまく組み合わせて関係を築いていく。それってまるで・・・

KJ:すてき!パズルのピースみたいですね。
――うん、完全に、ね!(笑) まぁ、なんとなくだけど。言葉にすると「これはこう!」って決まっちゃうじゃん。じゃなくて、なんとなーく。

言葉ではっきりとくくってしまうのではなく、その時・その場に流れる生の空気を大事にしたい、という彼の考え方が伝わってくる答えだ。

■人生、モチベーション!

卒業後は、某大手広告代理店に就職が決まっている篠崎さん。

KJ:そこで、何かやりたいと思っていることは?
――それは人事に聞いてみないと・・・(笑)。自分としては、イベントプロモーションとか、何かをクリエイトするような、Cytronでやっていることを社会でそのままやっていきたい。それがやりたくてCytronの活動をはじめたから、できるように頑張らなきゃね。

KJ:夢を叶えられるところまできている。それって、すごいことですよね。
――モチベーションだよ、やっぱり。失敗とかしても、結局そこにたどり着く。色々な生き方があるしね。

「シトロンで活動した2年間を振り返って、やりきったと感じています。会社入ってからのことはまだわかんないけど、今までの学生生活は満足しているし、やりきれた。」そう語る彼の表情は、明るい。

KJ:ではそんな篠崎さんから何か、塾生へメッセージをお願いします。
――自分の好きなことを見つけて欲しい。就活中はすごく悩んだけれど…好きなことを絞れると、気持ちいい。何か、自分の中で一番モチベーションがあがることをやり続けてほしい。人生はモチベーションだから!(笑)

KJ:なるほど!(笑) 今日はどうもありがとうございました!


この日、主にインタビューを担当したのは三人の新米ジャーナル部員。緊張してぎこちない質問の仕方だったが、篠崎さんはゆっくり、きちんと答えてくれた。気づくと、いつの間にか和んでいる空気。「色んなカラーを取り込む」ことを教えてくれた篠崎さんは、その言葉どおりにありのままを受け入れてくれる、包容力を感じさせる人だった。

関連リンク
■Cytron
http://cytronweb.hp.infoseek.co.jp/

■ミスター慶應オフィシャルサイト
http://www.kouyasai.com/mr-keio/

■慶應ジャーナル ミスター慶應特集
http://www.keio-j.com/tokushu/06mrkeio/index.html


取材 川畑かほり・鄭有眞・早川智彦・
酒井万里恵・堀内麻里



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