> 慶應ジャーナル > インタビュー記事 > 塾生インタビュー#39
塾生インタビュー #40 [06/10/21]
■全ては秋のために!野球部員たちの熱き想い。
野球部

 9月9日、神宮球場。残り少ない夏を惜しむように、太陽の日差しが熱かったその日、六大学野球の秋季リーグ戦が始まった。平成16年以来、約2年間、優勝を逃している慶應にとって大事なリーグの始まり。
 慶應ジャーナル編集部では、リーグ前、一つでも多くの勝ち星をあげるため、また永遠のライバルである早稲田大学との慶早戦(早慶戦)を勝ち抜くため日夜練習に励んでいた慶應義塾体育会野球部を訪ねた。主将 金森宏徳さんをはじめとする野球部140人の優勝、そして慶早戦への熱き想いを聞いてみよう。



 日吉キャンパスの反対側、商店街の道のりを歩くこと20分、静かな住宅地の中に慶應義塾体育会野球部(以下、野球部)が日々の練習を行っている日吉グラウンドがある。グラウンドの近くには野球部の寮があり、部員たちは学校以外の主な時間をここで過ごしているようだ。慶應ジャーナル編集部がグラウンドを訪ねた時は、午前の練習を終え、リラックスした姿の野球部主将、金森宏徳さん(環境情報学部4年)や4年マネージャーの萩原聖子さん(商学部4年)が我々を迎えてくれた。

■文武両道精神が大事!

 午後3時、まだ日差しが暑い時間、グラウンドは午後の練習に励んでいる野球部員たちの熱気に包まれていた。彼らは日々どのようなトレーニングを行っているんだろう。

野球部
野球部

 「トレーニングはディビジョンA・B・Cに分けて行っています。ディビジョンは全て個人の実力を元に分けているので、1年生でも自分の実力があればディビジョンAで練習しますし、もちろんスタメンになって実際の試合に出ることも出来ます。普段の練習以外の時間には、自主的な練習をしていますね。練習の内容は、監督をはじめ、各コーチ(主に3,4年生)と相談して決めます。(金森さん)」

 このように、週末などを除くと、ほぼ毎日練習を行っているという野球部。ハードな練習の日々で、学問と両立するのも難しいのではないか。

野球部

 「塾体野球部は文武両道を大事にしているので、練習スケジュールを組む時も、みんなの時間割を全て集めて、それに合わせて日程を決めています。どうしても合わない場合は練習を優先してもらう事もありますけど、なるべく練習で授業に出られないことはないようにしていますね。(萩原さん)」

それだけではなく、野球部では、テスト期間の前にはトレーニングが休みに入る「テスト休み」を設けて、部員がテストに集中出来るようにしているらしい。体育会でも、部活だけではなく、学問もきちんとする。中学、高校から野球だけではなく、勉強にも励み、厳しい入試を突破して集った慶應の野球部だからこそ作れる環境なのかもしれない。

■男140人の寮生活。

野球部

 野球部は現在、全寮制になっており、一部のスタッフを含む部員全員が日吉グラウンド近くの三つの寮で生活している。寮によって少しずつ違いはあるが、基本的には一部屋に上級生と下級生の3人が一緒に暮らしているらしい。そのため、学年によって「部屋長・部屋中・部屋子」というのが決まっていて、一番下の学年である部屋子は、自分の部屋に物を置ける場所がなく、別の部屋(寮の一部屋が、部屋子たちが荷物を置くための所になっていた)に収納しているんだとか。上級生とのルームシェアに、自分の収納スペースがないとは、厳しい生活ではないだろうか。既に約4年間、寮生活を送っている金森さんにそれについて聞いてみたところ、

 「たしかに厳しいんですけど、耐えなければならないものなんです。(金森さん)」

 厳しい言葉が返ってきた。さすが野球部、さすが主将。しかし、なんだかんだ言っても、男140人の寮生活。何か面白いエピソードもあるのでは。

 「1年生の時には今とは別の寮に住んでいたんですけど、そこは割りと上級生が少なかったので、同級生たちと夜こっそり寮を抜け出して遊びに行ったりしていました(笑)。(金森さん)」

■全ては秋のために!

 日々の寮生活や練習風景を覗かせていただいたところで、話は自然と六大学野球に流れた。六大学野球といえば慶應と早稲田の慶早戦(早慶戦)。野球部の彼らにとっても慶早戦とはやはり特別な意味があるだろうか。

野球部

 「そうですね。慶早戦はプロの試合より観客が入って、盛り上がる試合ですので、他の大学との試合とはまた違う意味があります。僕が初めて慶早戦に出場したのは2年の春だったんですが、左右と後ろの3方向から応援の声が聞こえてきて、すっごく緊張した覚えがあります。(応援の声がすごいため)1塁、3塁とかと全くコミュニケーションがとれなくて、球飛んで来たらやばいなと思うぐらいで、身振り手振りでやるしかないし…。やっぱあそこに立つというのは特別ですね。(金森さん)」

 慶早戦に勝利を収めた次はやはり優勝へ!平成16年以来、約2年間、惜しくも優勝を逃してきた塾体野球部だが、今年は春季新人戦(六大学野球部1、2年生によるトーナメント式競技)で優勝するなど良いスタートを見せている。

 そして、今シーズンで大学野球を離れる4年生の部員たちにとってはまた特別なリーグになるだろう。取材の最後に、金森さんを始めとする野球部員4年生たちの秋季リーグへの思いを伺った。

・金森宏徳さん(主将、環境情報学部4年)
「今考えていることは、秋優勝することだけですね。その先のことも全く考えてないですし、今の4年生の中では、大学で野球をやめる部員も多いので、みんな絶対優勝したいという気持ちしかないと思います。部員全員が一致団結して、優勝して、神宮球場で泣きながらインタビューしたい…これが僕の'夢'です。」

野球部

・中路智久さん(ヘッドコーチ、法学部政治学科4年)
「春、悔しい思いを部員全員がしました。特に自分はベンチで身をもってその悔しさを実感したので、この悔しさを絶対忘れちゃいけないと思って、春の慶早戦が終った直後から秋に向けて気持ちを高めてきました。今すごく厳しい練習ですけれども、これを乗り切ってこその秋だと思いますし、4年生のとってはこれが最後のシーズンで、慶早戦は本当にたくさんのお客さんが駆けつけてくれてすごく嬉しかったので、秋は慶早戦で絶対優勝を決めたいと思います。」 

野球部

・永井才史さん(投手コーチ、経済学部4年)
「僕にとっても野球をやることはこれが最後なので、有終の美という意味でも、また春からの選手たちの成長を見た上でも、優勝出来たらいいなと思います。」

・小泉秦典(投手コーチ補佐、商学部4年)
「春はすごい悔しい思いをして、この悔しさをどっかで晴らさないとダメだと思うので、秋は絶対優勝して、全員でパレード出来るように頑張ります。」

 全ては秋のために。今シーズンでは惜しくも優勝を逃してしまったが、来る慶早戦、そして来期以降のさらなる躍進のために日々戦っている慶應義塾の野球部員たち。今後の彼らの戦いからも目が離せない!

 是非、神宮球場に足を運び、彼らに暑い応援のエールを送ろう!


取材 鄭有眞 北林寛子



塾生・塾員インタビューTOPへ | 慶應ジャーナルTOPへ