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塾生インタビュー #35
■第27回国際学生シンポジウム運営委員長
 藤内省吾さん(法2)
第27回国際学生シンポジウム運営委員長・藤内省吾さん

毎年12月に、大学生・留学生が2泊3日の合宿を通して各分科会のテーマについて議論しあうディスカッションイベントがある。その名は「国際学生シンポジウム」。慶應のディスカッションサークル国際会のメンバーを中心に構成されて運営活動を行っている。毎年200名もの様々なバックグラウンドを持った大学生・留学生が集まってディスカッションしあうもので、普段の生活では味わうことのない経験を得ることができる。まさに日本最大級の学生ディスカッションイベントだ。このイベントも今年で27年目を迎えようとしている。そこで、運営委員長を務める藤内省吾さん(法学部政治学科2年)に今年の内容や意気込みについて伺った。

■第27回国際学生シンポジウム
http://www.sympo.net



■国際学生シンポジウムとは?

―国際学生シンポジウムとはどういったイベントなのですか?
 簡単に言うと、学生の学生によるディスカッションイベントです。大きく分けて特徴としては3つあって、1つ目は日本最大規模の学生ディスカッションイベントであること、2つ目は様々なテーマの分科会があるということ、3つ目は著名な講師陣をお呼びしているということですね。今年は12月16日〜18日に代々木のオリンピックセンターで2泊3日をかけてディスカッションを行います。環境問題や開発、日本外交などの幅広いテーマの分科会に分かれて2泊3日かけて徹底的に議論します。

■今年の国際学生シンポジウムはどんな感じ?

国際学生シンポジウム藤内さん

―今年のサブタイトル「次代への鼓動」とはどういう意味でしょうか?
 こういったイベントに来る学生は意識の高い人が多いのですが、そういう学生たちは次代を担う若者たちだと思っています。毎年200名ほど学生が集まって議論をするのですが、この場で行われる議論というものはまさに「次代への熱い鼓動」とでも言えるのではないかと思い、このようなサブタイトルを付けました。

―様々な分科会があるとおっしゃっていましたが、今年の分科会の特色はどんな感じでしょうか?
 国際政治関係や環境問題、メディアの問題、生命倫理、テロなどのいろいろなテーマの分科会を用意しています。

―国際学生シンポジウムなのに、なぜ国際関係とは違うテーマもあるのですか?
 私たちが理念として掲げている「国際人の育成」というものは国際文化を扱うということではありません。将来はグローバル化が進む国際社会になると言われていますが、そんな中にあってどのようなフィールドでも活躍できるような人材(国際人)を育成するきっかけを提供する場ということで、この国際学生シンポジウムというものを行わせていただいています。自分が重要だと思っている問題に対してアプローチをしていくということが、これから国際人になる上で大切であると感じています。

―著名な講師陣が来るとおっしゃっていましたが、具体的にどういった方たちがいらっしゃる予定ですか?
 国際学生シンポジウムでは、過去に養老孟司氏や緒方貞子氏などがいらっしゃいました。今年は東京工業大の社会学の権威である橋爪大三郎氏に来ていただき、対話の意義についてお話していただくと共に、11個の各分科会のテーマについては各界の第一線で活躍しておられる著名な講師陣に来てもらおうと考えています。今のところ、日本外交分科会では東京大学の田中明彦氏、日中関係分科会では早稲田大学の天児慧氏、安全保障分科会では慶應SFCの神保謙氏、拓殖大学の森本敏氏、東アジア経済分科会では元インドネシア銀行社長の内野好郎氏、環境分科会では東京ガスの社員の方に来ていただく予定です。今年は企業の方にも積極的に来てもらおうという方針でいます。

国際学生シンポジウム藤内さん

―各分科会の中で選考というものがあると思うのですが、どういった基準で審査されるのですか?
 審査には知識を要求されるものもあります。しかし、審査基準としては、どのくらい情熱を持ってその問題について考えているか、どのような活動を日頃行っているかということの方が重要ですね。活動については、学生団体に入っているから来てもらいたいということではなく、むしろ普段意識している問題にアプローチしていない学生に来ていただいて、当イベントで「きっかけ」を持っていただきたいと思っています。一番重要な審査基準はやはり「情熱」ですね。

―今年で27年目になりますが、約26年間の過去の参加者の中でどんな方たちが活躍していらっしゃるのですか?
 OB、OGの就職先等のデータがあまりないので、はっきりとしたことは言えないのですが、民間企業に入って活躍している方もいらっしゃいますし、一番多いのはJICAのような開発系のところや官庁を就職先として活躍している方もいらっしゃいます。第1回目の国際学生シンポジウムの運営委員長の方はある企業の社長をやっていらっしゃいますね。

―留学生について具体的にどのような国の方がどれくらいいらっしゃるのですか?
 やはり中国、韓国の方が多いですね。しかしそれ以外にも、カンボジアやアメリカ等、毎年様々な国の方が参加してくださいます。昨年度は30名ほどの留学生に来ていただきましたし、今年度も同程度の参加を見込んでいます。

■運営委員長藤内さんご自身は?

国際学生シンポジウム藤内さん

―藤内さんがこの国際学生シンポジウムの運営委員長になったきっかけとは何ですか?
 私は去年の国際学生シンポジウムの運営委員をやっていました。1年間を通して広報活動や分科会の準備などの活動がものすごく忙しくとても大変だったのですが、本番を迎えたときに参加者の方々に「本当に素晴らしいイベントですね!」「来てよかったです!」などのコメントをお聞きして、今までの苦労が報われた気がしました。そのようなこともあって、改めてこのイベントの素晴らしさを実感しました。そして引き続きこのイベントの運営に携わってよりよいものにしていこうと思い、運営委員長をやらせていただこうと決心しました。

―このイベントを通してどのように成長していきたいと考えていますか?
 私は運営の面でいろいろと苦労することがあるのですが、組織の運営を学べるのが一番いい経験だと思います。この国際学生シンポジウムは日本最大の学生ディスカッションイベントだと自負していますので、このような運営の活動を通して私自身も日本の学生の熱さというものを感じて、今後自分が生きる道というものを模索していきたいと思います。

―最後に、この国際学生シンポジウムを通じて、参加者に何を伝えていきたいと思っていますか?
 日本の学生は「無気力」だとか「勉強しろ」だとかよく言われるのですが、自分自身の問題意識を持っている人に関してはかなりアプローチを行っていると思っています。それが大学の授業であったり、本を読むことであったり、このようなイベントに参加することであったりなど、たくさんの人たちがいろんな形でアプローチをしていると考えています。「日本は広い」「世界は広い」ということを痛感してもらうとともに、自分が目指すべき目標やこのイベントで自分がどう変わったかということを感じてもらえたらいいと思っています。もちろんそのテーマについて話し合ってもらうということで自分たちの考えを鍛えてもらいたいです。このようなことを含めて、「国際人」へのきっかけを是非得ていただきたいですね。

第27回国際学生シンポジウム 〜次代への鼓動〜

http://www.sympo.net
日時:2005年12月16日(金)〜12月18日(日)
Pre Sympo(事前勉強会):12月3日(土) 12:00〜、12月10日(土) 12:00〜
応募期間:2005年10月3日(月)〜11月8日(火)24時必着
場所:国立オリンピック記念青少年総合センター(小田急線参宮橋駅下車 徒歩5分)
http://www.sympo.net/access.html
募集人数:200名程度(留学生、社会人含む)

参加費(期間中の宿泊費・食費込み):
日本人学生 11,000円
留学生   5,000円
社会人   15,000円
※留学生の参加費は、協賛企業や財団のご協力により、上記の料金となっております。

使用言語:日本語
基調講演:橋爪大三郎氏(東京工業大学大学院教授)

分科会紹介:
A 安全保障 〜東アジアの安定を模索する〜
B 生命倫理 〜生と死の境において人の生きる権利を守る〜
C メディア 〜メディアと築く双方向的関係〜
D テロ 〜9.11から見るテロ対策と今後の展望〜
E 環境 〜地球に想いを馳せて〜
F 東アジア経済 〜経済連携交渉の先に〜
G 日中関係 〜問われる地域大国としての責任〜
H イノベーション 〜世界をリードする技術立国日本を目指して〜
I EU 〜欧州統合の可能性〜
J 日本外交 〜日米同盟の将来と日本の選択〜
K 開発 〜開発における教育〜
※詳しくはこちら→ http://www.sympo.net/workshop.html

スケジュール詳細: http://www.sympo.net/schedule.html
申し込みページ: http://www.sympo.net/participation.html

後援:外務省、日本経済新聞社、独立行政法人 国際協力機構 東京国際センター(JICA東京)、国際交流基金、経済産業省(申請中)、環境省(申請中)
助成:富士ゼロックス小林節太郎記念基金、財団法人三菱銀行国際財団
協賛:東京コカ・コーラボトリング株式会社、住友スリーエム株式会社ほか




取材   小竹秀明



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