神奈川地元テレビのtvk「みんなが出るテレビ」(木曜日22時〜、再放送は金曜日24時35分〜)に女子大生リポーターとして出演している木住野由佳(きしの・ゆか)さん。テレビ画面の中の彼女を見たことのある慶應生も多いのではないだろうか。大学では理工学部応用化学科四年で地球環境化学を研究する木住野さんの素顔に迫ってみたい。
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懐かしいと振り返りながら、最初は自分でカメラを回して取材をするのが恥ずかしかったという木住野さん。女子大生リポーターになろうとしたきっかけは何だったのだろうか。
KJ:番組出演の経緯を教えてください。
「マスコミ志望のともだちがいて、その子が募集を見つけてきたんですが、リポーターの資格が神奈川県在住・在学で友達はその応募資格がなかったので、"おもしろそうだし、テレビ局見てこよう"っていう好奇心で「私が面接だけ行ってきてあげる」って行ってきたら、面接で拾っていただいて(笑)」
まさに偶然が重なってというエピソード。
「でも、"出ると決まったのでやるならやろう"と思いましたね」
そう語る木住野さんの言葉は、自然体でありながら意志の強さを感じさせる。
木住野さんが出演されているtvk「みんなが出るテレビ」は女性ジャーナリストを本気で目指す現役女子大生が、神奈川県の情報を自ら取材しVTRを作成、その内容を自ら視聴者に伝えていく情報バラエティ。持ち時間3分7秒で発表し、その評価は「リング」の獲得数で表され、10リングを溜めると海外レポートなどのご褒美がもらえるという番組。(※注)
KJ:テレビに出演するようになってからテレビに対する印象は変わりましたか?
「番組だけを見ると一見華やかですけど、見えない部分での努力を感じましたね。持ち時間の3分7秒に全部をまとめて紹介しないとならないのですけど、3分7秒のVTRを作るためには友達の話を聞いたりインターネットで検索して情報を探して、取材にも半日か一日かかりますし編集も何時間もかけてやるので、3分7秒といえど、準備を重ねてできているんです。」
打ち合わせもないので思わぬ批評をうけることもしばしば。発表の失敗は編集されることなく放送され、時にはリングを獲得できないことも。そもそも当日自分が発表できるかもわからないという、なかなかシビアなものだ。
また編集作業なども基本的に自分で全て行なう。番組側は"機会を与えるから自分で成長しなさい"という決して過保護ではないスタンスだ。それでも木住野さんは「経験が宝です。お金を出しても買える経験じゃないから、機会事体がtvkのみなさんの好意、努力なんだと思っています」と語る。その姿にはさわやかな謙虚さがある。
控えめにも感じられる木住野さんだが、今までどのようなレポートを作ってきたのだろうか。
(※注)
内容は記事の取材時点である2月19日現在のもの。番組は4月から大幅リニューアルしたため、現在の番組内容とは異なる部分がある。
KJ:一番思い出に残っている取材は何ですか?
「初取材のひようらは思い出深いけど、思い出だし、自分の力不足を感じたのはTOTOのCM作りの企画ですね。もうあれは、すごく大変でしたね。」
この企画は番組スポンサーのTOTOから発売される新しい脱臭剤のCMを女子大生リポーターが制作し実際に放送するというもの。全リポーターの中から木住野さんの考えた案が見事採用され、実際にCM撮影となった。
KJ:普段のレポートとどのような違いを感じたのですか?
「普段の仕事は自分の発表なので、取材先の方にはご迷惑を掛けてしまいますけれど基本的には自分だけの責任で済むんですけど、その時は商品の宣伝なのでそのプレッシャーもありました。」
しかも、撮影までの日数はたったの二日! 木住野さんは家族を出演させる案を考えたのだが、出演する家族も自分で探してこなければならなかったのだ。
「日曜日におもちゃ屋さんに行って、この人ならっていう家族連れの方に声を掛けて、出演をお願いしました。自分でプロットを作って、それが決まったら出演者探しだったんで、かなりキツキツのスケジュールでした。」
それでも友達に商品の印象や好きなCMを聞き、自分でもテレビや掲示板でCMをリサーチもしたという彼女、さすが研究肌だ。
そして渋谷のスタジオで行なわれた撮影。そこで木住野さんはプロの仕事を目の当たりにした。
「自分が撮る時は、自分が動いて「この辺かな」って感じで撮るんですけど、プロの方はカメラを覗いて、物を動かして、カメラを動かしてと、動くことを全く苦にしないというかいいものを撮るために労力を惜しみなくつぎ込むという感じでしたね。」
良いものを撮るために労力を惜しまないプロのカメラマンさんの意識や、メーカーの方の売り出したいことと消費者の求めることの両方を掛け合わせることのむずかしさなど、勉強になることが多かったという。
「逆に一番達成感があったのもCMですね。力不足を感じて苦労の道のりが長かった分、一番良かったと思ったのがCMでした。」
木住野さんは過去に10リングを達成。しかし同時に5人が達成したので、番組は海外レポートを賭けて神奈川大学の文化祭レポート対決を。そこでもらったアドバイスは彼女が視野を更に広げることに。
「神奈川大学の文化祭レポートでは、屋台を中継ってことでリポートをしようとしたんですよ。でも、ちょうど取材しようとしていた2軒が、一つは交渉していた代表がちょうど席を外していて話が通っていなくて、もう一つは焼きソバ屋さんだったんですけど、料理が出来上がって鉄板の上が空になっちゃって。で、その最悪なタイミングで私はレポートしなくちゃいけなくて・・・。その場の機転も利かなくてつなぎきれなかったんですよ。」
「でも、それが終わったあとでやまださん(やまだひさしさん。当番組のエグゼクティブプロデューサー)は理系の私に「理系の学問には答えがあって、それを追求していけばいいし、実験もやり直しがきく。でも実際はやり直しがきかなくて、正しいと思っても正しいわけじゃないこともあって、答えはひとつではないんだよ」と、アドバイスして下さったんです。例えば料理がなければ人をクローズアップするとか、笑いで流してしまうとか。アプローチを変えて臨機応変にすることも大切なんだって教わりましたね。」
失敗からも教訓を学び取った彼女は、笑いを交えてそれを振り返る。こんな友達がテレビに出ていたら、周りは大騒ぎなのではないだろうか。
KJ: テレビに出るようになってから、周りは何か変わりましたか?
テレビをパチパチまわしてたら知ってる人が映ってるって感じで、放送中に電話が掛かってきたりって最初の方はすごくありましたね。自分から「出てる」っていうことは言わなかったんですけど。両親は最近知ったみたいです(笑)
KJ: え、ご両親にも言ってなかったんですか?
「言わないですね、あんまり(笑)
でもそれは恥ずかしいって言うのとはちょっと違うんですよ。目立ちたいっていう意図でやってないんで、友達に見て欲しいっていうのがたぶん出てこないんですよね。それと、仕事をやっている上でちょっとまだ自分に余裕がないので。自分自身のやっていることに余裕があればいろんな人の話を聞いてっていうこともできるんでしょうけど、なかなかそこまで至れませんね。でも余裕ができたら、人の意見も聞いてみたいな。」
KJ:出演するようになってテレビ番組を意識して見るようになったりしましたか?
「テレビはあんまり見なかったんですけど、グルメ系の番組を見て「おいしい」っていう表現とか、どう撮ったら食べ物がおいしそうに見えるのかとかに関心をもって見るようになりましたね。視野が広がって、言葉の表現も気にするようになって。リポーターとして失礼がないように、ノリで発言して取材先や見てくださってる人が不快にならないように気をつけています。」
「出演する時は服もお化粧も自前で、あんまり気にしてないんですよね。ご飯を食べた後も口紅を塗りなおさないし。だから収録二回目の方が顔色がわるかったりするんです」と気さくに話す彼女は、テレビ出演に対する責任感をごく自然に持ち合わせていた。
KJ:今後の目標を聞かせてください
「友達やスタッフの方の意見に広く耳を傾けられる余裕を持ちたい。あと、興味を持っているところの方が人に伝わるんですけど、自分が全然体験したことのないものもすごく楽しいんで、積極的にやっていこうと思います」
番組出演で学んだ「視野の広さ」を更に自分のものにしようという木住野さんは常に前向きだ。
「実は今狙ってるところがあるんですよ。」
今後のレポート先をそうこっそり教えてくれた木住野さん。これは今後の放送を注目だ!
最後に「よりよいものを作っていけるようにがんばっていきたいと思うので、これからも見て応援していただけると幸いです」とメッセージをくれた木住野さん。ナチュラルな魅力を放つ彼女に魅せられる視聴者が更に増えていくことは間違いない。
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