どこに行こうかと考える間もなく、友人知人に引っ張られ、かっこいいお兄さんに引っ張られ、気付けばお財布は軽く、お腹は重くなっている。それが三田祭中庭模擬店の楽しみ方のひとつだ。ちなみに「スローキッチン」「はし巻男」「中華まん太門」を除いては気の向くままの突撃取材である。
さぁ、クレープランキングに続いて計13店の模擬店ぶらり旅レポートをお届けしよう。
正門を入るとすぐに、色とりどりの売り子さんたち。通常のキャンパスなら許されざる格好もお祭りならではの醍醐味だ。
まず目指すは、正門広場前に位置する「スローキッチン(スローフードクラブ)」
早速にビーフシチュー、タルト、ワインの全メニューを注文。ビーフシチューの人参を食べたジャーナル部員の感想は・・・「これ、人参の味がする!」そう、全ての野菜も吟味しているスローフードならではの大地の恵みが詰まったシチューなのだ。続くタルトは、お持ち帰り用に箱も用意してもらえる親切さ。何より、お・い・し・い!!ひとくち食べたらそこは学祭の模擬店とは思えない、西洋骨董洋菓子店さながらの空気が口の中に広がる。さつまいもの甘さが何ともいえずクリーミー、そしてタルト地がさくさくと香ばしいのだ。「レシピ下さいよ」と、そんな声も飛び出した。スローキッチンのレシピはスローフード特集で大公開してしまう予定なので、乞うご期待☆
続いては同じ並びの「中華まん太門(山田太門研究会有志4年)」 公式パンフレットによると肉まん、あんまん、ピザまん等ということだが、売っているのは驚くことなかれ、焼き餃子と水餃子。三田祭直前まで何かと変更の多い模擬店の忙しさを象徴しているのかもしれない。そしてこの中華まん太門の特筆すべき点は、何と日に日に味付けが進化していたことである。1つ1つ手作りという餃子は言うまでもなく美味。温かいすもも酒と梅酒も大人気、来年はもしかしたらお目にかかれないことが唯一残念だ。
スローキッチンのワインを片手に歩いていると、勧誘のうまいお兄さんに出会う。そこは「タピオカヒロシ(ワンダーフォーゲル部)」だ。値切り交渉の際に一芸を披露してくれたのは、ワンダーフォーゲル部をおいて他にない。
そしてその傍で地味に、いや、静かに佇むテントがある。それは世界中どこの郵便局でも買うことのできない切手を売っている「三田祭記念切手販売局(郵便切手研究会)」
東館と旧図書館の2種類の切手を販売していて、10枚シートはもちろん1枚から買うことが出来る。郵便切手研究会の部員さんが1枚1枚カッターで切っているのだ。売り切れ必至、慶應生なら一度は使ってみたい切手である。
更に正門に近づくと、一際目立つ看板がある。エリア別装飾部門で1位にも輝いたという「汁屋本舗(菅谷実研究会4年)」は、年々人気も高まっているメディアコミュニケーション研究所からの出店だ。キムチ春雨とミネストローネの2種類のスープのうちキムチ春雨をいただいたが、なかなかの激辛。スパイスの効いたメディアコム生ならではの味付けだ。
場所を移して、ここは中庭ステージ通り。老若男女がひしめく中、若い男女が特に集まるお店があるらしい。「ぜふぃフランクヒャルト(ZEPHYROS.F.C.)」では、模擬店名物のフランクフルトを販売。おいしいフランクフルト以外にも、素敵な出会いがあるとかないとか!
数メートル先で、何やら渋い雰囲気を出しているのは「愛塾酒家(應援指導部)」だ。おでん、焼き鳥も正味できるが、「陸の王者」と冠された日本酒を堪能できるのは、キャンパス内どこを探してもここだけ。
更に西校舎通りまで進むと、種々の甘い匂いと激しい勧誘の猛攻撃に遭う。そんな誘惑の中辿り着いたのは、「はし 巻男(タカシ倶楽部)」である。微妙に正体を隠しているが、出店しているのは商学部某ゼミ。チラシにもエプロンにも「はし巻男」が模されているこだわりぶりだが、もっとこだわっているのは本場の味だ。お好み焼きを箸に巻いて食べるという長崎名物のこのはし巻き、長崎まで出張して作り方を学んできたというから驚きだ。食べてみると、なるほど納得。リピーターも多かったというお墨付きの味だ。ここで食べられなかったあなた、長崎まで行ってみよう!
ふと見ると、マクドナルドか?と思える看板があるがそこは「EcDonald's(イーグルス)」というれっきとしたたこ焼き屋さん。模擬店のたこ焼きなんて・・・と思ってはいけない。そこで出会ったのはとろとろのお味。
お腹もいっぱいになってきた夕暮れ、少し肌寒いと感じ始めた頃に訪れたお店は「チーム新保(チーム新保)」だ。売っているのは東欧の国の珍しいお酒など。コロナからカシスオレンジまで品揃いも抜群だが、ジャーナル部員がはまったのは中でもハンガリーの『トカイ』というワインだ。フルーティな白ワインに部員揃ってご満悦。お洒落に酔って温まりたいあなたにはぴったり☆
ワインで盛り上がりながら隣のお店に目を向けると、何とナンを打って焼いているではないか。「とろしちゅ。(国際センター塾機構(KOSMIC))」ではナンカレーをごちそうに。特におススメは、チーズ入りナン!留学生も売り子に立つ、慶應ならではの模擬店だ。
少し酔いが回ってきた頃に目に入ってくるのはやはりお酒の模擬店。「甘恋(横田青三)」では、甘酒とお餅を販売。甘酒のお味はきなこ、抹茶、いちごと揃い、お餅もきなこ味と醤油味を楽しめる充実ぶりだ。この甘酒を飲んだら甘い恋が生まれるかも・・・?
キャンパスをぐるりと歩いたところで、諭吉坂上にクリスマス気分の模擬店を発見。「マシュマシュ☆スノちゃん(世界の中心はここにある's)」は徹底したクリスマス装飾で華やかに装飾1位に輝いていた。クリスマス気分とマシュマロの幸せな甘さをプレゼントしてくれた子のお店、店員さんもノリノリでした!
三田祭といえば、講演会にライブ、研究発表にタロット占い、そして模擬店と実に多くの出し物がある。何気なく通り過ぎてしまえばそれまでのこと。しかしそこには、日々活動している慶應生たちの努力とドラマが詰まっている。どれだけ三田祭を楽しんだのか、それはどれだけのドラマに出会えたかにかかっているのかもしれない。
来年も、三田祭を見逃せない!
*カッコ内は出店団体名