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エントリーナンバー1 松村昌哉さん(商2)
クールな眼差しの奥に秘めた、熱い思い

 現役の慶應生であると同時に、株式会社サムリーの代表取締役を務める松村さん。学生起業家という一風変わった肩書きを持つ彼に、起業をしようと思ったきっかけを尋ねると、意外な答えが返ってきた。
 
 「起業したいと思ったことは一度もない」

 では、そんな彼が会社を作るに至った経緯とは? そして、仕事中心の忙しい生活を送る彼の原動力となっているものとは?
 そこには、穏やかな物腰で語る温和そうな彼の、内に秘められたゆるぎない熱い信念があった。

松村昌哉さんのBlogはこちら
http://ameblo.jp/mrkeio2007-01/


■ミスターは会社社長?!

―まず、ミスター慶應に出ようと思ったきっかけを教えてください。
motto-K(*1)に広告出稿の依頼をしに行った時に、ミスター慶應コンテストを主催しているシトロンの方に誘われたのがきっかけです。ちょっとした(会社の)広報・宣伝にでもなればと思いました。それに広報に力を入れている団体と組めば色んな経験になると思うし、協賛との関係とかも見れて勉強になるかなという思いもありました。
*1学生団体シトロンが発行しているフリーペーパー。慶應キャンパス内で配布されている。

松村さんは昨年の12月に同じ慶應生の仲間と3人で株式会社Samleyを設立。8種類の色と6種類の形のビーズを組み合わせて作るプロフィール代わりにもなる携帯ストラップ「プロホル」を販売している。
−どうして起業をしようと思ったのですか?
「プロホル」のマーケティングをやることになり、それをやっていくうちに一つのブランドイメージ・広報戦略として起業を考えたんです。だから起業をしたくてしたわけじゃないんですよ。やりたいことがあって、それに向けてのひとつの道だったんですよね、起業が。起業して会社を動かしていって、そこから経験・人脈を広げていきたいなという思いからですね。

−最初からプロホルを売ろうと?
いいえ、「プロホル」が存在しない段階で、学生マーケティング会社を探している企業が話しかけてきたのが始まりですね。その前は1年生の時に人材派遣会社のシステム構築みたいなことをしようとしていたんです。それを9月〜10月くらいまで友達とやっていて、ちょうどやめた時に新しいビジネスの話が入ってきたっていう感じですね。たぶん人材派遣ビジネスをマーケティングビジネスと勘違いして、その会社が話しかけてきたんだと思います。

勘違いから始まった提携ビジネスだったが、携帯ストラップをプロフィールにするという松村さんの企画が通り、「プロホル」の発売が決定する。

―「プロホル」には深い思いが込められているそうですが?
「プロホル」はコミュニケーションストラップというコンセプトが始まりなんです。最近、人間関係が希薄化しているとか言われてますよね。そのことで僕が北海道から東京に出てきて気づいたことがあって。満員電車の中って、周りの人が自分に密着しているのに、その人たちを他者として意識してないんですよね。人間と一緒に生活してるということを考えられていない。自分と他者との間に境界線も引けてないし、アイデンティティが出来ていないんです。だから要は他者が人間なんだということを意識できればいいんですよね。そこで「プロホル」をつけている人を見て、“あの人にも人生がある、あの人も人間だ”と思えればいいんです。それを楽しく、真面目ぶらずにさりげなくアピールできるのがストラップかなぁと。

―仕事をしていて一番辛いことは何ですか?
辛いことですか〜。それはもう何から言えば良いかわからないくらい、いっぱいありますよ(笑)。でも少しでも現実的に社会貢献できればそれが僕らの喜びと思ってやっていますね。“営利活動をして社会貢献する”というのがうちの経営理念なんです。継続的で発展できるものが営利活動だと思っています。でもそれをわかってもらえないことがあるのが辛いですね。たとえばサークルにタイアップの話を持ち掛けたときに「企業とはつるまない」とか言われる。僕らはただ発展的なことをしたいだけなんですよ。且つ効率的に社会貢献をしようと思っているだけなんですよね。僕らのような会社を社会的企業と言うんですけど、それがまだ日本では理解されないですね。

■中学時代の仲間と「国を作ろう!!」

―中学卒業後、4年間オーストラリアに留学していたとのことですが、留学のきっかけを教えてください。
中学の時に、サッカー部の仲の良かった友達がみんな「高校行かない」とか言っていて。僕もその時に、“ただ良い高校行って大学行って、良い会社入ってお金を稼いで老後を過ごす”という人生を描いてしまって、それが嫌で仕方なかったんです。それならどんなに厳しくてもいいから一人で社会から出て、生きていきたいと思ったんですよね。それである時、「この世界が嫌だったら、新しく国を作ろう」と思いついたんですよ。それを友達に話したら、「じゃあ皆で金貯めて島を買って、それを国にしよう」ということになって。オーストラリアの近くって島がいっぱいあるから、あの辺にしようという話になって。「じゃあ俺が行ってくる!」って感じで、本当に留学しましたね(笑)。

―留学生活の中で印象に残っていることは何ですか?
オーストラリアの普通の高校に入ったんですけど、友達と外でごはんを食べている時に、近くに落ちているゴミを先生に「拾え」と言われたんですね。僕が落としたゴミでもないし周りに他の生徒もいっぱいいるのに。それってちょっとした差別的意識なんですよね。でも僕としては意味がわからない。そこで僕は先生に「あなたが近いんだからあなたが拾った方が良いと思う」と言ったんです。それでまぁ色々問題にもなったりしたんですけど。そういう差別的なことを味わったのが印象深いですね。でもそれって白濠主義の文化の名残りだったりして、だんだん受け入れられるようになるっていうか、客観的に色んなものが見れるようになったので、自分としては嫌だったことというよりは、視野が広がったなという風に考えてます。

―松村さんが立ち上げた起業サークル「SEAK」について教えてください。
社会起業家をどんどん作っていきたいということで立ち上げました。マーケティングの勉強も教えて、それと一緒に実務もやろうという感じですね。実務をやると結構みんなすぐにガタがきますね(笑)。起業っていうもの自体に憧れている人って多いんですけど、そういう人はほぼ確実に現実を見た瞬間諦めますからね。やっぱり目的意識がある人じゃないと続かないと思いますよ。もしかしたら憧れから起業して、その後ちゃんと理念を持って成功していく人もいるのかなって思いますけど。

■将来の趣味を探し中

―学生生活の中で一番楽しいなぁと思う時はどんな時ですか?
楽しい時は…仕事のことではなくですよね?(笑)僕はよく家に友達を呼んで酒飲んだりするんですけど、そうしている時が一番楽しいですね。僕の家がたまり場みたいになっていて、みんな自由にゲームをやったりとか。そういう時間がホッとする時ですかね。

―休日は何をしていますか?
友達と買い物に行ったり…あとは家にいますね。

―家にいるのは好きですか?
うーん。行くところがないんですよね。みんな何しているんですかね?(笑)それがすごく疑問です。たとえば友達と服買いに行って、ご飯食べて、あとは家に帰るみたいな感じなんですよね。みんな休日って何してるんですか?
―趣味がある人はそれをするんじゃないでしょうか。楽器だったりスポーツだったり…。
あぁ、なるほど。僕、趣味がないんですよね。でもそれはいけないって思って今度、二輪の免許とって将来も続けられる趣味にしたいなぁと思っているんですけどね。将来の趣味を考えないと、あとで仕事ばっかりの人生になっちゃうじゃないですか。それで大学卒業して仕事して定年したら、すぐボケますよ(笑)。サッカーとか体を動かすのも好きなんですけど将来続けられそうもないし、車だったら飽きそうなんで、やっぱりバイクですかね。これから挑戦していきたいです!もしミスターの賞品でバイクが貰えたらいいなぁなんて思っちゃいますね(笑)。



1つ1つの質問に、真剣な眼差しで丁寧に答えてくれた松村さん。一見落ち着いた雰囲気のクールな印象を受けるが、「仕事で思った以上の良い契約が取れた時に、仲間とお酒を飲みながら語り合うのが楽しい」と語る時のニコニコと嬉しそうな表情からは、“仕事が好きでしょうがない”彼の熱い思いが伝わってきた。自分の好きなことに全力で取り組んでいる人の姿ほど、キラキラと輝くものはないのだろう。

関連リンク

株式会社Samley

プロホルネット


取材:酒井万里恵、内田彬浩