■ミスター慶應コンテスト2006 エントリーナンバー2
春成勇樹さん(商学部3年)

 商学部3年、春成勇樹さん。取材当日、ゼミの勉強のための企業取材の帰りだという彼は、スーツ姿で駆けつけてくれた。忙しい時間を割いて応じてくれた取材にも関わらず、彼は「よろしくお願いします」と言って丁寧に頭を下げた。ゆっくり、はっきり、穏やかに話す。相槌を打ちながら、頷きながら、時に笑いながら、人の話を聞く。アルバイトに勉強にバンドと、忙しい日々を送っている春成さん。彼の纏う空気は、その忙しさを微塵も感じさせないほど、落ち着いていて、優しい。







春成勇樹さんのBlogはこちら
http://blog.livedoor.jp/harunariyuuki/?blog_id=1926708


■日本人です


―コンテストに出る事になったきっかけを教えてください
「ミスター慶應コンテストを主催しているシトロン(注1)って学生団体の代表の方が、僕の先輩なんですよ。僕は総合音楽研究会(注2)っていうサークルに入ってるんですけど、そのサークルの先輩だったんです。先輩から突然電話がかかってきて、出ないかって言われたんですけど、僕はまあ、最初は当然ちょっと困って、『ええっ』って思いましたよ。でも他に出る子が集まらなくて、先輩にお願いされちゃったんですよ。その外人キャラで出てくれって(笑)」

―外人キャラ。(笑)でも純日本人なんですよね?
「毎回初対面の人に言われるんですけど、どこの血も入ってないです。日本人なんですよ。両親もおじいちゃんおばあちゃんも日本人です。そこは全面に出してるんですけどね〜(笑)」

―ブログにもよく書いてますよね、『日本人です』って。
「日本人です。東京都出身ですよ(笑)」
「外人キャラ」とは、あまり聞かない分類だ…が、確かに、彼の整った彫りの深い目鼻立ちは、「ハーフっぽい」としか言えないような雰囲気と魅力がある。

注1:シトロン
2005年に設立された学生団体。
http://cytronweb.hp.infoseek.co.jp/
注2:総合音楽研究会
2000年に設立された塾内のサークル。
http://sok2.at.infoseek.co.jp/

■ギターをやってるときが、一番楽しい

―所属サークルの総合音楽研究会では、バンドをやっているんですね?
「はい、僕はギターです。高2くらいからずっとやりたかったんですけど、進路のこととかでいろいろ問題があって、実際にギターを始めることができたのは大学一年の終わりくらいからなんです。まだまだ、始めて約1年半ですけど、3年越しくらいでやっと始められたんで、ギターが面白くて仕方ないです。下手の横好きですけど、ギターをやってる時が一番、楽しいですね。自分の趣味で曲を作り貯めてるんですよ。来年くらいには学校の外でライブをやりたいなと。」

―じゃあ春成さんの趣味はギター、ということですね?
「はい。あ、でも、ほかに最近趣味になったのは、宝くじを買うことなんですよ。とりあえず金がちょっと欲しくて・・・当たったら音楽の専門学校行ったり、色々できるじゃないですか。こないだオータムジャンボ買ったんです、今結果待ちです。(笑)」

―もし今二億円あたったらどうします?
「防音設備のついた家をドンとたてて、音楽の専門学校行って、留学もします。」

すごく具体的ですね。神様がくれるチャンスを待ってるってことですか。
なかなか夢のある青年なのだ。全国の夢を持つ人、必死の趣味のある人は、宝くじを第二の趣味にしてみるのも面白いかもしれない。

■マイペース

―血液型は?
「A型です。でもあんまりAっぽくない、と思います。時間とかけっこうルーズなんで。マイペースですしね。あとあんまり、他人がやってるから自分もやらなきゃ、みたいな考え方はしないです。」

―突然ですけど!好きな女の子のタイプは?
身を乗り出して聞くジャーナル部員。彼はちょっと考えて、そしてちょっと笑って、こう答えてくれた。
「自分がいつも好きになるのは、何かを追っている人なんですよね。でも、そういう人を追って、辛くなるのは自分なんですよね…(苦笑) 一回は、自分のほうを向いてる女の子と付き合いたいですね…。自分のことをすごい好きになってくれる子と。」

−でもミスター慶應コンテストに出てるし、モテモテのはずですよね?
さらに身を乗り出すジャーナル部員の攻撃にも、春成さんはあくまで冷静だ。
「いや、コンテストで注目されるとかっていうのは表面的なことでしかなくて、ちょっと違うじゃないですか。」 と笑う。

―ミスター慶應コンテストに出て、何か周りの目が変わったりしましたか?
「あぁ出てる人だ、みたいな目で見られることはたまにありますけどね。声をかけられたりとかはないですよ。コソコソっと、あぁアレ、みたいな。」

―人目に晒されるミスターコンテストに出るのなんて、イヤじゃなかったですか?
ジャーナル部員の質問に、彼はさらりとこう答えてくれた。
「人前に出るからには、まぁある程度マイナスの目線で見られることはしょうがないと思ってます。出たからには、仕方ないですね。」 と、こともなげだ。
「ミスターコンテストに出た理由っていうのも、ブログには、彼女がほしいからとかミスと絡めるからとか書いたんですけど、あれは冗談です(笑)こういうのに出て、プラスのイメージで見てくれる人もいるかもしれないけど、マイナスのイメージで見る人の方が多いと思うんですよ。そういうところに自分をさらけ出して、それに耐える、みたいな。抗体をつけたいっていうんですかね。うまく言いにくいんですけど、そういうのはありますね。」

―ストイックですねえ。
「たしかに、そうかも。てゆうか、そう。」
そう言って笑う彼の、軽妙さと真面目さが面白い。本当に、独特の空気感を纏った人なのだ。

■真面目ですよね

今年の夏休みは、ずっと「考えてた」という春成さん。考えていたことは、自分の将来のことと、就職活動についてだ。この夏は徹底的に考える、と決めて、本当に毎日じっくり自分と向き合って、考えていたという。…彼の真面目さは、彼自身に対する真面目さなのだ。マイペースで真面目、彼の性格が垣間見える。

「就職活動はします。まだまだわからないことだらけですけど。ドラえもんでも呼んで、『俺に合ってる職業って何?』って聞いてみたいですね。なんかありそうですよね、道具。」

彼の所属しているゼミでの研究も、自分自身の仕事観を考えるための重要なテーマとつながっている。


「八代充史ゼミ(注3)に入っています。ゼミでは労務管理っていうのを勉強してます…マニアックなんですけど(笑)労務管理っていうのはつまり、会社の人事の仕事みたいなことです。」

―勉強はおもしろいですか?
「そうですね。その労務管理の勉強を始めたのがそもそも、働くってことについて疑問を感じたのがきっかけで。働いてお金が出るってどういうことなんだろうって思って。給料を決めるのがまた人間だし、面白いですよね。だから労務管理については、勉強する中で、『あぁ働くってこういうことなんだ』って腑に落ちる部分があっておもしろいですよ。今日も企業訪問して人事の方の話を聞かせてもらってきたんですけど、勉強になります。」

注3:八代充史研究会
商学部の研究会。人事・労務管理論が専門領域。
http://news.fbc.keio.ac.jp/~yashiro/index.html

アルバイトもして、ゼミの勉強もして、バンドもやって、ミスター慶応コンテストにも出て、多忙な生活を送っている春成さん。

―いつもかなり忙しいんじゃないですか?
「忙しいです、ね。気付いたら寝てて、気付いたら起きてるってかんじ。」
すごいことをさらっと言う。

―春成さんって、本当に真面目だし、女の子はこういう人と結婚できたら最高ですよね!
と興奮して伝えると、

「いやいや、結婚なんて。自分みたいなフラフラした人間にはまだまだ考えられないですよ」
と笑った。
そういうところが、真面目なんですよ。



取材終了後、「お疲れ様でした!ありがとうございました!」と頭を下げたのは、ジャーナル部員ではなく、春成さんだった。取材をさせてもらったのは、こちらのほうなのに。終始笑いの絶えなかった取材が終わった後も、その場にのんびりした空気が残った。自分のペースを崩さずに、ごく自然に他人に気を遣える。いい男っていうのは、こういうものなんだろう。春成勇樹さんの、今後に期待だ。



取材 吉田麻衣子・鄭有眞



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