応援指導部主将・斉藤好輝さん
#1-No.1
應援指導部 主将
斉藤好輝さん(文4)

★特集 - 慶早戦の裏方たち '05

慶早戦の場だけでなく、「慶應を応援する塾生」を指導する應援指導部。彼らの応援あってこその慶早戦であり、彼らのいない慶早戦は考えられないものである。その應援指導部を率いる主将はどのような方なのだろうか。野球の慶早戦開催迫る最中、今回は應援指導部主将である斉藤好輝(文4)さんに、慶早戦や塾生に対する思いを語ってもらうべく取材を試みた。

◆慶應義塾大学應援指導部
http://keio-cheer.com/

―初めにこういうことをお伺いすると失礼に思うかもしれませんが、私が入学して以来の應援指導部主将のイメージと良い意味で違うように感じます。
僕の一年生のときの主将はとてもかっこよかったですよ。(笑)

―いや、そういう意味じゃないんです。(笑)
應援指導部といえば、威圧感があるようなイメージがありました。それが、今回斉藤さんが主将になられて、とても親近感が湧くんです。

僕としては、そのことは素直に嬉しいですね。一緒に塾生に応援してもらいたいので、親近感を持ってもらえるというのは嬉しいです。

―では、斉藤さんが一年生のときに、4年生はどう見えましたか?
先輩である4年生は、僕にとってまるで"神様"のような理想的な存在でした。今の4年生にとって、僕がそのような存在であるかどうか、まだ自信がありませんが、いつかそうなりたいと願っています。

■「慶早戦」について

それでは、まずは準備と練習についてお伺いします。

―慶早戦の準備はいつ頃からしているのですか?

仕事によって違いますが、神宮球場に関する準備などは、一ヶ月前くらいからです。具体的に動き始めるのは、六大学野球が始まって4戦目が終わった頃からですね。

―他に慶早戦に関して應援指導部がしている仕事で、特別なことはありますか?
―慶早戦の応援のメインの台、あれは三田の学生団体ルームにあるので、トラックで神宮に移動しておいて、前日に建ててます。それぐらいですね。

■「勝ちたい気持ち」を高める練習

―準備は一ヶ月前ぐらいからとのことですけど、その間も忙しい中並行して平日に練習等はされるのですか?
まぁそうです。平日も練習してますね。

―練習というのはどういうことをされるのですか?
言葉では説明できないのですけど、基本的に「気持ちを高める練習」をしています。他の部活だったら、メインの練習は具体的に決まっていると思うんですよ。例えばサッカー部ならシュートを打つ練習とか。でも僕らはそうではなくて、精神的に鍛え上げられるようなことをしています。

―メンタルトレーニングといったものですか?
そうとも言えますね。イメージトレーニングと言った方が適切かもしれません。練習は、「勝ちたい」という気持ちを出すためにします。その気持ちを盛り上げるために、今回であれば日吉の競技場のスタンドを、神宮を想定して発声練習なりするわけですよ。そうすることによって気持ちを高めています。

―かけ声などはあるのですか?
もちろんあります。神宮球場では走り回ったりするので。その体力を付けるために、練習では声を出しながら走り込んでますね。曲の通り声を出して、それで自分たちも気持ちを高める。それを塾生の前で振舞うかのようにしています。

■「応援は塾生がいなければならない。その塾生の応援を指導するのが僕達應援指導部だ」

次は応援に関してお伺いします。

―応援する場所は決まっているのですか?

特に決まってないですね。状況を見て動いていますよ。あっちのほうが盛り上がってないなと感じたら、自分がそう思ったところに移動して、拍手しながら流れている曲の感じで「次お願いします!」と塾生を盛り上げます。

―試合の合間に叫んでおられるネタはオリジナルなのですか?
だいたいそうです。「持ち回」というのがあって、それぞれがその回にネタをしています。僕だったら『塾生注目』が二回にあるように、人によって違います。毎回ごとにネタをやっていますね。
*回=野球の一回、二回の回数といったイニングのこと

―試合中はどのようなことを考えますか?
それはもう、選手をできるだけ後押ししたいということと、一緒に神宮球場にきてくださった人と共に、勝利の味を味わいたいということ、その二つだけを考えています。

斉藤さんが主将である今年、慶應が優勝を狙える位置で盛り上がっていますね。そこで、今年の慶早戦に対する思い入れはいかがですか?
それは、「幸せ」というか、「幸運」と思っています。この環境を与えられたことそのものがです。慶應と早稲田の慶早戦が優勝決定の舞台になるということは、春に限ったら平成9年くらい以来ですし。また、今まで全勝同士というのは、数えるほどしかないくらいに久々のことです。そういう状況で応援できるというのは、純粋に嬉しい。塾生と一緒に応援したいですし。それで、僕らは『應援指導部』っていう名前じゃないですか。他大学は違う名前なんですけどね。といいますのも、僕らの中で、「應援は塾生がいなければならない。その塾生の應援を指導するのが僕達應援指導部だ」と思っているからなんです。神宮球場に、この優勝のかかった試合に来てくれる人たちを、本当に嬉しく思います。

―慶早戦を通して、態度や言動などで気をつけていることは何かありますか?
慶早戦は確かに特別なもので、早稲田は永遠のライバルであって友であると思う。エール交換で、その早稲田を応援することにあたっては、特別な思いはありますね。本番前に、特に気を付けていることはないのですけど、本番前に部員で総会を開きます。部員全員集まって。決起会といった感じです。そこで「絶対勝とう!」といいます。ただ、普段から特別に何かするということはないですね。自然と部員も日程が近づくにつれて緊張していくので。六大学野球の四戦目が終わったら「次は慶早戦なんだな」という、緊張感や高揚感というものが自然と出てきます。もちろん、他の学校との試合もあるので、特別に意識しないようにしているということもありますが。他の試合があるからこそ、慶早戦があるとも言えると思います。

■「『塾生の応援』というものを感じて欲しいです」

最後に、塾生に向けてのメッセージをいただきたいと思います。

―観戦している塾生たちに求めているものは?

それはもう、一緒に声を出して、一緒に応援してもらいたいということです。最近よく言われるのが、「早稲田の声の方が大きい」ということ。それがすごい残念です。僕らの力不足というものもあるかと思いますが。是非、塾生のみんなにはもっと声を出して欲しい。それで塾歌をみんなで大きな声で出して欲しい。確かに、一番から三番まであって長いとは思いますが、みんなで一緒に大きな声で歌ってほしい。第一応援歌である『若き血』も、大声で歌って欲しい。僕らとしては、一緒に塾生に大きな声を出してもらえないと、勝てないくらいに思っていますから。


―塾生に大きな声で歌ってもらいたいということで、心がけていることはありますか?
たとえば、慶應に得点が入ったときに『若き血』を歌うじゃないですか。そのときに、塾生と部員が肩を組んで、積極的に一緒に歌うということを仕掛けるとかですね。でも、それは自然と出てくるものですけどね。盛り上がっていないと思うところがあれば、そこにいったり、盛り上がっているところがあれば、そこをさらに盛り上げるようにしたりします。

―「とにかく一緒に声を出してもらう」、それが一番ですか?
まさにそうですね。これは前年のことなんですけど、慶早戦は楽しいものなので、お酒を飲むだけで応援をしないという人もいたようです。そういうことからして、早稲田に負けているのかなって思ったりもします。難しいことなんですけどね。来るからにはできれば應援を…。特にエール交換は、早稲田が慶應に、「フレフレ慶應」とかをやるのと同様に、慶應から早稲田にも敬意を払うものなので、しっかりと應援して欲しいですね。要するに、お互いに敬意を払う場なので、メリハリが必要だと思います。確かにエール交換は長いとは思いますが、「静かにしてください」と言うときは静かにして欲しいですね。どうしても、「エール交換は早稲田の方が大きい」と言われていることが悔しくって…。個人的に感じたことなので正しいかわかりませんが、向こう(早稲田)は学校歌の1〜3番を通して声の大きさがかわりませんが、慶應は違うように感じてしまうのです。堅苦しいところではありますが、「体験」をしてもらって、慶應の、「塾生の應援」というものを感じて欲しいです。

慶早戦、そして塾生に対して熱い想いを語ってくれた斉藤さん。野球だけでなく、他の競技の慶早戦にも行って、一緒に慶應を盛り上げてみてはいかがだろうか。

*今回の取材は、野球の慶早戦が行われる前にされたものです。