あなたは「T.K論」をご存知だろうか?ひようらのとあるカラオケ屋で売っている経済学の解説ノートのことである。
「例えば、みんなが一生懸命バイトして、月5万円ずつ貯めて、やっと100万円貯めたとするよね?ここでインフレが起きてみ。すげーむかつくよ。例えば急にインフレになって、物価が20倍になったとしよう。この場合自分のバイト代も20倍になったと仮定すれば、これからするバイトに関しては、インフレの影響はあまりない。だけどせっかく20ヶ月がんばって貯めた100万円は?今となったらバイト1ヶ月分と同じになってしまう。」(「気軽にはじめるマクロ経済学 T.K論」21ページより一部抜粋)
まるで近所のお兄さんが語りかけるような口調で、やさしく経済学を解説してくれるT.K論はたちまち塾生の間に広まり、今では経済学を学ぶうえでかかせないアイテムとなりつつある。
この本の作者、木暮太一さんは当時現役の経済学部生であった。T.K論はなぜつくられたのか?経済学を学ぶコツとは何なのか?この疑問を直接本人にぶつけるべく、我々は木暮さんに突撃インタビューを行った。
─「マクロ経済学の楽論」を出版することになった経緯について教えてください。
「T.K論が売れていたので出版社に頼んで本をだしてみることにしました。大手の出版会社にはいくつも断れられたのですが、2人でやっている小さい出版会社に頼んで出版させてもらいました。」
─タイトルの由来はなんですか?
「T.K論なんて全国のみなさんにイニシャルをだすのもなあ、と思ったし、T.K論じゃ、アマゾンなどでマクロの本を探そうと思って検索してもひっかからないので違う名前にしようと思っていました。いろんな人にアドバイスを聞き、内容がすぐわかるもの、そして硬いイメージではなく簡単とか楽とかいう言葉を入れたかった。その結果考えたのが「マクロ経済学の楽論」となったんですね。TK論は友達が考えたけれど、楽論は自分で考えました。」
─経済学を学ぶコツ・アドバイスがあったら教えてください。
「経済学を理解するためには、自分の生活で起きたことと重ねて考えることが必要です。経済学を説明するのに、経済学の難しい用語を使ってもわかるわけがないんですよ。結局それはどういうことなのかイメージできるようにならないと。例えば発明というのは、全く新しい技術だと思われがちですが、それだって過去のものをどこか一部だけ変えただけだったりするんです。それと同じで、新しい概念だって結び付けられないものはない。ただ漠然としたイメージを持つだけではうやむやになって理解できません。知らない言葉は知っている言葉で置き換えるとわかりやすくなりますよ。」
─最後に塾生にメッセージをお願いします。
「とにかくいろんなことをやってみてください。いろんなバイトをしたりしてほしいですね。授業にきっちりと出るのは高校生までです。やりたいことができるのは大学生の期間しかありません。やりたいことやって、やらなくて済むことはてっとり早く終わらせる。テストなどは僕の本などを使っててっとり早く終わらせてください(笑)。いろんなことを経験して考えるきっかけをもってほしいです。絶対に将来に役立つと思いますよ。」