三田祭といえば模擬店。毎年多くのサークル・団体が凌ぎを削るこの戦場に新たに参戦する店がある。その名は『スローキッチン』。他の店が速さ・量を売りにする中、彼らは“スロースタイル”を掲げかなり手の込んだメニューを提供するという。今までとは一風変わった新種の模擬店に独占密着取材を敢行した。
「かなりの自信作、太鼓判押します!」と豪語するのはスローフードクラブ代表の久保田悠之さん(法政4)と副代表の渡辺久美さん(法政3)。スローフードクラブとは自分たちで一から畑を耕し野菜を育てているサークル。今回三田祭で模擬店を出店するにあたり、その畑で作った野菜を使おうと試行錯誤の上今回のメニューを作り上げたという。
ではそのご自慢のメニューとは・・・
・ とろけるシチュー
・ サツマイモスイーツ
単なるシチューと侮ることなかれ。味にはかなりのこだわりがあるようだ。
「最初メニューを決めるときにスープなら大量に作れるからいいなと思ったんですけど、それじゃ簡単すぎると。どうせスローにやるならとことんやれるビーフシチューにしようとなったんです。」
試食会を5回も行い、その度にいろんなレシピを試したという。市販のルーを使い作っていたが最終的に行き着いたのは
「自前のルーが一番おいしいことに気づいたんです。みじん切りの玉葱とセロリをじっくりこんがりと長時間炒めて作るんです。しかもお肉はとろとろです。3,4時間は煮込みますからね。」
想像しただけでヨダレが・・・。
「これだけ試食会にお金をかけているところはないと思いますよ!毎回いろんな材料を試して作りましたから。普通のお店で食べるのよりも絶対おいしいです。」
ただでさえ美味しいビーフシチューに添えられるのは焼きたてのフランスパン。
「焼いて下さるのは三田商店街の“クロワッサン”っていうパン屋さんなんですけど、店長の平田さんがとても優しい上に学生が大好きで、今回の手作りパンの提供を快く引き受けてくださいました。」
地域協力の賜物である。
そして忘れてはいけないのがデザート。このサツマイモこそスローフードクラブメンバーが丹精こめて畑で育てた愛情の結晶なのだ。どのくらい手間がかかっているのだろうか。
〜サツマイモが出来るまで〜
大手ホームセンターで一般によく栽培されているサツマイモの苗を手に入れるのは簡単だが、スローフードクラブはここから違う。 細かく種類を調べ、甘みが強いものなどこだわってサツマイモ1種・紫芋1種を選んだという。貴重な種類なので業者に問い合わせて発注したそうだ。
A 苗植え5月中旬に苗植え。もちろん土にもこだわっている。土に米ぬかを入れるとサツマイモが甘くなるのだそうだ。化学肥料には頼らず牛糞の堆肥を小型トラック一台分運ぶなど徹底している。
B 水遣り、剪定日照りしないよう夏は3〜4日おきに水を遣り、あとは辛抱強く待つのみ。収穫が近くなるといつもサツマイモのことを考え緊張し始める。
C 芋掘り大会10月下旬、ついに半年間の成果が出る日。まるで幼稚園児に戻ったようである。 「これは大きいぞ!」と期待して引き抜くとそんなに大きくなかったり。宝探しのように盛り上がるメンバー。大きいサツマイモが採れた時には歓声があがった。
つまり、これだけ手間がかかったスイーツが美味しくないわけがないのである。
そして器・コスチュームにも手を抜かないのがスローフードクラブ流。 「さんざん悩んだ挙句、シンプルな黒のギャルソンエプロンに決まりました。Simple is the bestです!器とスプーンもこだわりました。河童橋の問屋街を歩き回って、使い捨てだけど高級感のあるものをチョイスしました。器の表面はツルツルしててスプーンはブラック。イメージはスープストック(注1)ですね。」
さてこれでいかに手間もコストもかかっているメニューかお分かりいただけたと思うが、何より気になるのはもちろん値段!これだけ手が込んでればそれなりの・・・と思ったら な、なんと、
格安・爆安である。
この強力メニューを引っさげ目指すところは、
スローフードクラブをたくさんの人に知ってもらいたい
“一番うまいで賞”を獲りに行きます!
ここまで読んだあなたはもう『スローキッチン』の虜だろう。
これだけ手の込んだメニューはなかなか食べられるものではない。
この機会を逃したらきっと後悔するだろう。
三田祭当日、『スローキッチン』に急げ!!
今回取材した『スローキッチン』は三田祭当日レポートでも追加取材を決行予定!
乞うご期待!!