塾生インタビュー #27[07/11/15]

慶早戦企画第三弾”拳で勝負をつけろ!”ボクシング早慶戦に密着

何かと比べられることの多い慶應と早稲田。
数ある慶早戦の中でも注目を浴びるのは野球やサッカーなどほんの一握り。

それだけが慶早戦じゃない。

そんな思いから今回スポットを当てたのはボクシング。
打倒早稲田を胸に日々汗を流す9人の男たちの慶早戦に迫った。

バット?ボール?そんなものはいらない。
今日は拳で勝負をつけようじゃないか。
10月20日、危ぶまれていた天気は見事に快晴。早稲田大学西早稲田キャンパスは創立125周年記念の催しで学生やOBOG、来年に大学受験を控えた受験生などで賑わいを見せていた。そんなキャンパスの正門を出てバスロータリーを挟んだ向かい側に位置する小野記念講堂の中庭が今日のボクシング早慶戦の舞台となる。

ボクシング早慶戦は昭和4年の第1回から数えて今回で51回という歴史を持つ。昨年は慶應が勝利を飾ったものの、これまでの戦績は13勝33敗4引き分け。昨年の勝利に続き連勝を狙いたいところだ

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■本日の対戦表

     慶應          早稲田  
フライ級 
     鈴木光裕(経2) ―  前田知也
バンタム級
     浅山晋吾(経4) ―  石井亨
フェザー級
     近江真人(経4) ―  小渕豊太郎
     小山史竜(法政2) ― 寶田光平
     角田佑介(理1) ―  野村和矢
ライト級
     中畑俊介(経3) ― 福岡秀明
     佐藤大基(理2) ― 松野優介
ライトウェルター級
     大倉紘平(法法4) ― 森山伸俊
ウェルター級
     櫻井秀(経4) ― 横川洸司

試合開始時間が近づくと会場には200人近い観客が集まり、興奮と緊張が入り混じった異様な空気がリングを包み始めた。

敵地早稲田、しかも向かいのキャンパスでは125周年記念の催しが行われており、客席は早稲田勢に占められてしまうのではないかという不安が脳裏をかすめるも、それは杞憂にすぎなかった。

お揃いのブルーレッドブルーのネクタイに身を包んだ慶應関係者とOB、家族、友人、そして應援指導部員が大集合し、慶應が誇る“社中精神”を早稲田の地でまざまざと見せつけたのだ。

「応援は完全に慶應の勝ちだね。」

と、隣の早稲田OBが寂しそうにつぶやいていたことからもわかるように、この早慶戦にかける意気込みの違いがそこにはあった。

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■第1試合 フライ級
鈴木(経2)− 前田

鈴木:
「トップバッターということなので勝ってチームに流れをつけたいと思います。去年は勝てなかったので今年は何としても勝ちたいです。相手(前田)がサウスポーなので右ストレートをうまく使っていきたいと思います。」

序盤はなかなか有効打を出せなかったが、2ラウンド以降相手の疲れが目立ち始めヒットを増やしていく。後頭部にパンチを入れられるという相手の反則もあったが、終盤は落ち着きを保ちながらフットワークをうまく使いこなし確実にパンチを当てていく。


ジャッジA 60−57 鈴木
ジャッジB 59−59 ドロー
ジャッジC 59−56 鈴木

2−1の鈴木の判定勝ちで慶應が初戦に白星を飾った。

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■第2試合 バンタム級
浅山(経4)− 石井

浅山:
「今日が引退試合なので悔いの無いようにしたいです。といっても必ず勝ちたいですね。今まで苦しかったこと、つらかったことたくさんあるんですけど最後に勝てば全部いい思い出になると思うので絶対勝って終わりたいです。(必殺技・右ストレート零式について)あれは使っていきます。相手は予想とは違っていたんですけど、誰が来ても大丈夫な練習はしてきてるので、それを出すだけです。」

序盤から猛攻をしかけ、2ラウンド以降はパンチが次々とヒットし、強烈な左フックが石井の顎をとらえると会場から大歓声が上がり、終盤は完全に浅山のペースで試合が進む。

ジャッジA 60−57 浅山
ジャッジB 59−58 浅山
ジャッジC 60−57 浅山

3−0で浅山が勝利し、慶應は2勝目をあげる。

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■第3試合 フェザー級
近江(経4)− 小渕

近江:
「7年間高校からやってきて今日が集大成なので絶対勝ちます。対戦相手(小渕)とは3回戦っていて2勝はしているんですけど、挑戦者のつもりで頑張ります。(必殺技・ジェノサイドアッパーについて)今日は燃える豪腕左ストレートを出します。」

序盤から猛烈な打ち合いで両者一歩も引かず白熱した展開を見せる。終盤になってもペースは加速し続け、早慶両陣営から割れんばかりの声援が送られる。思わぬ反則を取られるも、予告どおり燃える豪腕左ストレートを炸裂させるなど終了間際まで攻めの姿勢を見せる。

ジャッジA 56−59 小渕
ジャッジB 56−59 小渕
ジャッジC 56−59 小渕

3−0で早稲田・小渕に軍配が上がった。近江はチームメイトからの励ましの声や会場からの暖かい拍手に送られながら悔しそうにリングを後にした。

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■第4試合 フェザー級
小山(法政2)− 寶田

小山:
「9人で絶対勝って全勝します。(対策について)ビデオも無かったので自分のやるべきこと全てを出して、今までの練習を信じて頑張ります。自分の持ち味はスピードなのでそれを活かして戦うことしか考えてないです。」

とにかく速い。開始早々左ストレートをお見舞いし、持ち味のスピードを活かした「打ってはひく」というフットワークで相手を翻弄する。終盤も全くスピードが衰えることなく、疲れきった相手のパンチは全く当たらない。



ジャッジA 60−57 小山
ジャッジB 60−57 小山
ジャッジC 59−58 小山

3−0で小山が勝利し、前試合の近江の雪辱を果たした。

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■第5試合 フェザー級
角田(理1)− 野村

角田:
「相手は推薦だらけのチームなので、そんなチームには負けられないし、僕の相手は同学年でこれから4年間戦っていくことになるので絶対負けられないです。(野村について)研究はしてないですけど、イメージでは何十回も倒しているので大丈夫です。左ボディーで悶絶させます。」

開始早々、右ストレートでダウンを奪う(写真2枚目)など序盤から完全に角田ペースで試合が進む。2ラウンドに入り、さらに勢いを増し、コーナー・ロープ際に追い詰める猛攻を見せる。結局2ラウンド2分29秒でRSC(注)勝ちをおさめた。

これにより現時点で4−1で慶應がリード。あと一勝で慶應の勝ちが決まる。
(注)レフェリー・ストップ・コンテスト。どちらかの選手が明らかに不利な場合や、試合続行不可能な状態になった場合、レフェリーの判断で試合を止めること。

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■第6試合 ライト級
 中畑(経3)− 福岡

中畑:
「初めての早慶戦で、しかも主将として出るので個人としてはもちろん勝ってチームも全勝で終わらせたいです。右ストレートで倒します。」

序盤から攻めていくがなかなかヒットせず、硬さが目立ったのか「リラックス!!」とチームから声があがる。2ラウンド以降落ち着きを取り戻し、確実にヒットを重ね、快心の右ストレートで相手をロープまで吹っ飛ばすと会場がどよめく。結局2回のスタンディングダウンを奪い、3ラウンド1分50秒でRSC勝ちをおさめた。

これにより5−1となり、慶應の勝利が決まった。勝利が決まった瞬間、チームメイト・関係者は手を取り合って歓喜に沸いた。(写真3枚目)

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■第7試合 ライト級
佐藤(理2)− 松野

佐藤:
「先輩方も後輩も強いので絶対に自分も勝って、慶應の勝利につなげたいと思います。自分の得意なボクシングをして全力でやります。ドラゴンクローを炸裂させます。」

序盤からボディーを中心に攻めていき、距離をとって相手に全く打たせない。ボディーが効き始めたのか相手の動きが鈍くなってきたところを強烈なブローが顎をとらえ、ダウンを奪う。これにより2ラウンド2分45秒でKO(ノックアウト)勝ちをおさめた。

慶應だけに素晴らしいKO勝ちを見せてくれた。


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■第8試合 ライトウェルター級
大倉(法法4)− 森山

大倉:
「中学1年の時に野球の早慶戦を見て、カッコイイと思いました。高校1年の時にボクシングの早慶戦を見て、僕も早慶戦に出たいなって思いました。大学でもボクシングを続けた理由は、ずばり早慶戦のリングで闘いたかったから。それくらい思い入れが強いです。新旧関東王者同士の対戦(大倉が旧)ですが負ける気はしません。会場が沸きあがるような真っ向勝負をします。」

リングに上がる前に「しゃぁ!!」と大声を出し、自らを鼓舞する。その意気込みの強さはゴング直後からの闘志むき出しの猛攻に表れる。森山を相手コーナーまで追い詰め、早稲田陣営の目の前でパンチの連打を浴びせ、サンドバック状態にする。本人もラッキーパンチだと語る右アッパーが相手の顎をとらえ、スタンディングダウンを奪う。(写真2枚目)これにより2ラウンド1分34秒でKO勝ちをおさめた。

ここまでのところ7−1で慶應が大きくリードしている。次の最終戦でも白星を飾り、慶應の圧勝を期待したいところだ。

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■第9試合 ウェルター級
櫻井(経4)− 横川

櫻井:
「左フックで沈めます。勝っておいしいビールが飲みたいので1ラウンドで終わらせます。(対策について)いやぁ、レベルが違うんで、チョチョチョッと終わらせます。」

予告どおり瞬殺だった。カメラを向けたときには既にカウントをとられる横川から引き離されコーナーで待機していた。(写真2枚目)慶應応援席から「手加減しろよ」と声が飛ぶほどの圧倒的な実力差を見せつけ、1ラウンド43秒でRSC勝ちをおさめた。ただし実際に拳を交えたのは10秒にも満たない。

結果、第51回ボクシング早慶戦は8−1で慶應の圧勝に終わった。

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試合後閉会式が行われ、最優秀選手賞には大倉、技能賞には小山、そして敢闘賞には早稲田・小渕が選出された。

大倉:
「7年間やってきて最後の試合だったので緊張もしましたが、勝ててよかったです。(最優秀賞について)もらえるようなボクシングはしてなかったんですけど、もらえたので家にでも飾っておこうかなと思います。これで技能賞と敢闘賞と3つ全てもらえたし、4回早慶戦に出て4回ともKO勝ちだったのでよかったです。」

小山:
「完全に想定外でした。勝てただけで嬉しかったので最高です。」

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選手たちは最後まで名残惜しそうにリング上に佇み、仲間と勝利を称えあっていた。今回の勝利で慶應は慶早戦3連勝。この3連勝の勢いに乗り、ボクシング慶應黄金時代を築いていくことを期待したい。

■関連リンク

慶應義塾体育会ボクシング部


取材:後藤覚
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