26日(木)三田キャンパス西校舎519教室にて、国際センター設置講座のパーソナル・キャリア・マネジメントの一環としてJ-フォン社長、ダリル・グリーン氏が講演を行なった。
「はじめから大企業の社長になるつもりはありませんでした。 私が社長になれたのはただLuckがあっただけです。」
流暢な日本語に会場はざわめいた。意表をつかせたこの人こそ現在飛ぶ鳥を落とす勢いで成長するJ−フォン株式会社(Vodafoneグループ)社長、ダリル
E.グリーン氏(42)である。
Luckといわれてしまえば身も蓋もない。Luckが無い我々は生涯社長なんかになれないのか?!
いえいえ、心配はご無用。その辺りはさすが外国で社長に抜擢される人材、堅固な独自の勝利の哲学をもっておいでだ。
戸惑う我々学生の前にまず提示したのが、
「企業の中でキャリアを持つために必要な6つの条件」
1.五年スパンで将来像を具体的に設計する
2.実績を出す
3.常に自分の考えをもつ
4.リスクを恐れない
5.妥協して自分を失うな(この一線越えたら会社辞めてもいいと思える「根性」を持て、
と大企業の役員職を辞退し、会社を立ち上げた氏の言葉にはなんと重みのあることよ)
6.部下を大切にする
続いて紹介したのが「J−フォン(株)独自の社員育成」法。
全社員を対象として年に二回行われる目的達成評価システムや、WEB上での移動公募システムなどである。後者は上司に知られずに応募可能なもので、日本の会社社会では画期的な試みといえよう。 それに加えユニークな研修先。「年だから」と躊躇いを見せていた67歳の会長にサイパンの無人島でダイビングライセンスを取得させたり、中国では-13度の夜を野宿で迎え、ロープ一本体に巻いて万里の長城クライミング。聳え立つ城壁はライバル社ドコモであり、J−フォンはこれを乗り越え中国軍に泡を吹かせたモンゴル軍だと会場の笑いを取りつつも、にこやかな目の奥には鋭く光るものがあった。
講演の最後に、ロビンウィリアムズ主演映画の一場面をビデオにて上映。
「カーぺディエム(今を生きよ)」、大好きなこの言葉で講演を締めくくったグリーン氏。
ぼんやりと霧の晴れない人生の岐路に立っていた学生ひとりひとりに、たしかな光を残して颯爽と会場を立ち去った。
Luck無く講演を聞き逃してしまった学生は、講演中グリーン氏が熱烈に推薦していた本、『Follow
This Path』を読んでみると良い。自分が何のプロになれるのか、客観的な指針を与えてくれることだろう。