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塾員インタビュー #1
■株式会社ナレッジパーク 代表取締役
 杉山顕太郎さん

平成9年法学部政治学科卒

株式会社ナレッジパーク代表取締役




―ナレッジパークとはどのような会社ですか?

 18歳〜29歳の若年層セグメントに対して色々なアプローチをしている会社です。例えば,彼らの購買行動であったり、就職転職行動であってり、あるいは価値観、結婚観みたいなものをリサーチサーベイし、現在の若年層世代の姿を浮き彫りにした上で各種ソリューションを提供する企業です。若年層セグメントとの効率のよいコミュニケーションツールとして「Campus Park」を利用しています。

―杉山様の簡単な経歴を教えてください。

 平成9年度に法学部政治学科を卒業し,卒業後は新卒で大手メーカーに入りました。そこで2年間ほど働いた後に,平成11年に株式会社ナレッジパークを立ち上げました。大学時代は体育会の少林寺拳法部に所属していました。

―どうして起業を決意されたのですか?

 学生時代から起業は何となく考えていましたが、やはり一度、大企業を体験したい思いました。僕の頃には既に就職氷河期という言葉も出ていましたが、運良く総合商社、テレビ局、メーカーなど4社から内定をもらうことができました。その結果、最も自分の中の日本的大企業のイメージに合致するということでメーカーを選びました。

―起業を支えた原動力は?

 一番の支えは「自信」です。マスメディアは決してなくならない一方で、必ず広告の効果測定が比較的測りやすいニッチメディアは必ず時代に受けると信じていました。
しかし、起業当時は中々、その考えを理解してくれる人が少なく苦労しました。そんな中で自分の考えたマーケティング商品がお客さんに評価された時、自分の失いかけた自信を裏付ける形となり、更にモチベーションが上がります。

―起業当時苦労されたことは?

 やはり起業当初感じた辛さは『ブランド力の無さ』です。大手メーカー勤務時は,社名を伝えれば会社の説明などは不要でしたが,ナレッジパークの場合は無名だったので事業内容を説明する所からしなきゃいけなかったです。大体三ヶ月ほど,そんな低迷期が続きましたが,環境が好転したのは大手電機メーカーの仕事を取れてからですね。日本の商取引では実績が重要なので,大手電機メーカーの仕事以降は順調に仕事が入るようになりました。

―CampusParkがここまで大きくなる過程の話を聞かせてください。

 今でこそ十数万人のメディアに成長していますが,立ち上げ当初は読者数が100人にも満たない媒体でした。その為、手伝ってくれる学生のモチベーションがどうしても低くなる事が一番の苦労ですね。学生のモチベーションを上げる為に,自分も率先して取材して,記事を書いたり、大学内でビラを配ったりしました。都内の主要40大学は大学の見取り図が書けるぐらい歩き回り,何足も靴を履きつぶしました。当時は辛いというよりもむしろ楽しかったですね。今は現場から離れむしろつまらないと感じるぐらいです。

 そういった、泥臭い地道なプロモーション活動の成果で,1万人前後の読者を固め,その後は口コミなどで急速に成長し,今の『Campus Park』があります。プロダクションやメディアと提携し、デビュー支援をするミスキャンパスなどの企画なども読者数増加の追い風になっていますが,やはり今の『Campus Park』があるのは地道なプロモーションで得た1万人の読者の存在だと思っています。『Campus Park』を設立した1999年度はネットバブルの時期で,良いサイトを作れば人が集まるとの錯覚が通っていましたが,いくらイイモノがあっても人が知らなければ意味がないのです。『Campus Park』は,1万人の人に見てもらうためには延べ50万人の人にはビラを配る必要がある。といったような地道な告知活動を経て成長してきたのです。

―慶應の塾員であったという帰属意識を感じるときは社会人になってからありますか?

 それはよくあります。自分が体育会出身ということもあり,慶應に対する愛着や帰属意識はとても強いです。ビジネスをやっていく上でも,色々な義塾の先輩にお世話になる事はとても多いです。

―後輩の塾生達へのメッセージをどうぞ。

 2つの事を意識してほしいと思います。1つは『絶えず,自分を磨く努力をして自信を持つこと』,もうひとつは『常にポジティブシンキング』 です。『常にポジティブシンキング
』は言い換えれば『目の前に与えられていることを常にチャンスだと思い全力で取り組む』事です。私も新卒で大手メーカーに入った当初は、工場に配属され普通の工員さんと同じような作業をしていました。ただ,『なんで私が…』と思うのではなく,『折角の機会なので,得られることを最大限得よう』と考えることで仕事に対するモチベーションなども大きく変わってきます。つまらないと思っていた仕事が実は面白いって事も多いですし。

 OB訪問などで会う今の塾生は『自信』がないですね。慶應義塾大学を卒業すると,社会人としてかなり有利な所から社会人生活をスタートできます。多少、就職活動で失敗したからといって変に自信を失う必要はありません。自分を磨き,自信を持って,充実した社会人生活に挑んでほしいと思います。


取材   吉川英徳



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