今回取材したのは医学部5年生の鈴木利衣奈さん。
2005年度ミス日本候補である。
明晰な頭脳と端麗な容姿。果たして天は二物を与えるのだろうか。
信濃町にある医学部キャンパスは、慶應病院に隣接している。
日吉よりも、三田よりも狭いキャンパスの中で、いったいどんな活動をしているのだろうか。
キャンパス内の、真新しい研究棟でお話を伺った。
医学部というとキャンパスが離れているだけに、その内実は想像の域を出ない。医学部はどんなところなのだろうか。
「キャンパスは狭いですし、他キャンパスと離れていますし、食堂もありませんから、色々不便ですね。もちろんその分、人数も少ないので顔見知りは多いです。でも、人数の割には留年も結構出ますね(笑)。」
「医学部生って言っても、必死で勉強するのはテスト前ぐらいですね。私の場合は、テスト期間中はほとんど毎日徹夜して、昼間に2、3時間寝るという生活になってしまいます。本当にみんな必死なので、テスト前の信濃町キャンパスを徘徊する学生は、私を含めてちょっと怖いです。また、講義は最先端で研究をなさっている教授が直接します。そして、真面目な学生のたゆまぬ努力の結果、テスト前には最先端の知識が詰まったシケタイが出回ります(笑)」
古今東西、学生は勉強しないものなのか?
「そうは言っても、特に実習は、真剣に取り組んでいる学生がほとんどですよ。もちろん講義に毎回出ている学生も少なからずいます。」
医学部であるからには、やはり避けては通れないこともある。
「今まで特につらかったということは無かったですね。人体解剖の時などは学問的に見るように心がけていました。ぜんぜん気持ち悪くないといったら嘘になりますけどね。体全体がホルマリンに漬けられて、ガチガチ状態なんです。色もかなり変わって茶色になっています。でも、提供してくださった方とそのご家族がいらっしゃるし、医者になる上で絶対に必要な経験なので、気持ち悪いとは決して言えないと思います。むしろ、大変貴重な経験をさせていただいて、ご遺体に対しては感謝しています。」
「でも、解剖をして小腸を見た時は本当に驚きました。小腸って、教科書にあるように綺麗に折りたたまれているのではなく、人によって形がぜんぜん違うんです。ぐちゃぐちゃに押し込まれてる、って感じですね。」
医学部生も一、二年の間は日吉に通う。それでも日数は他の学部生よりずっと少ない。他大学との交流はもとより、他キャンパスとの交流も少ないという。そしたら、大学生活とは切っても切れない合コンやパーティーはどうなっているのだろうか。少し気になるところだ。
「人にもよりますが、男の子に比べれば、女の子はそういうことはほとんどない感じですね。人数も少ないですし、慶應の医学部の女の子と合コンしようというつわものはいないみたいです(笑)」
飄々とした話しぶりとその内容に親近感を覚えつつインタビューは続いていった。
それでは、鈴木さんはなぜ医学部に?
「私、SFC高校出身なんです。ですので、一般入試ほど競争が激しかったわけじゃなかったんですね。実際、推薦の願書を書く時などは医学部か法学部かで悩んでいましたが、昔から母が病気がちだったし、国境なき医師団に少し憧れていましたので、医学部に行こうと決めました。」
「将来的には、専攻を生かしたボランティアなどが出来ればいいなと思います。今は、小児科の子供たちに勉強を教えるボランティアをしています。長期入院している小中学生が、入院生活を少しでも楽しみながら勉強できるように頑張っています。」
うーん、素晴らしい。ぜひ立派なお医者さんになってください。
ちなみに慶應病院は「ブラックジャックによろしく」のモデルといわれていますが。
「本当なんですか?聞いたことはありますが。漫画自体はおもしろいし、大好きですけど、でもあの主人公の男の子ちょっと変じゃないですか? 大学で実習をして現実を見ているはずなのに、熱くなりすぎているのではないかなって。」
漫画に突っ込む鈴木さん。
「医学部だからといってみんな志を持って入ってくるわけではないです。
医学部合格だけを目標にやってきた人も結構いると思います。医者が全員熱血漢であるはずが無いんです。どんな職種でも同じでしょ? ひとそれぞれなんです。立派な医者かどうかは別の話ですよ。」
冷めた突っ込みをいれつつもやはり熱いのである。
蛙の子は蛙に、医者の子は医者にというのが常識となりつつある今の世の中だが、鈴木さんはどうなのだろう。
「いえ、両親ともに医者ではないです。いたって普通の家庭ですよ。私の場合、学費はおおむね奨学融資と自分のバイトでまかなっています。我が家では、二十歳を過ぎたら独立した大人なんです。とは言うものの、学生なので親の援助がないわけではないですが(笑)。」
「家庭教師を週5で入れるときもあります。時給はいいですね。こういうとき、医学部で得したかなと思います。でもバイト代は結局、教科書代や学費でほとんど消えてしまいますが(笑)」
医学部に光あり。全身から滲み出る自信の源はここに違いない。
さて、普通の生活を送っていれば縁のなさそうなミスコンだが・・・。
「知人に薦められたのがきっかけでした。そんなこと今まで考えたこと無かったんです。でもせっかくだから、学生生活最後の記念にと応募してみました。インターネットだったんで、ワンクリックです。そのとき聞かれたことが、身長、体重、足首周りの長さ。おもしろいですよねえ。」
「私、普段はぜんぜん目立たないんですよ。患者さんに失礼にならないように黒髪に白衣で、ハイヒールも履きませんし。ごく普通なんです。」
謙遜はしているが、やはり立てば芍薬(しゃくやく)なんとやらだ。8頭身はあろうかと思われるスラリとした姿形。幼少時代にはエキストラとして映ったこともあるのだとか。
多忙ながらも、趣味のある生活を忘れない。
「そうですね〜、かっこいいところから行きますと(笑)、バイオリンとピアノを小さい頃から。アコギ(アコースティックギター)の弾き語りもしましたねえ。」
淡々と自分について客観的に語る鈴木さん。知的な語り口と、時折見せる爆笑。彼女になら、神様も喜んで二物でも三物でも与えるにちがいない。
数々の審査を潜り抜け、いよいよ来る1月24日の最終審査に臨む。
ここで意地悪な質問をひとつ。
KJ:「自分を鏡で見たときに、並よりはきれいかな、と思いますか?」
「うーん、どうでしょう。そんなこと無いと思いますよ。」
やはり謙遜されてしまった。
「でももし美人が謙遜しなかったら腹立ちませんか?」
確かに。頭の切れも抜群なのである。
コンテストにおいては、容姿だけではなく、品性、教養も求められる。しかしこれらも彼女の障害にはなりえない。二足のわらじを履いた小野小町に、死角は無い。
永禄・・いや慶應大学の鈴木利衣奈さんをよろしく!
1月23日まで、ミス日本コンテストのWEB投票が行われています。
下記のアドレスから投票ができますので、みなさんよろしくお願いします。
⇒「9.鈴木利衣奈」さんの「投票する」ボタンをクリックで投票できます。
http://www.sponichi.co.jp/miss_nippon/2005/candidate/index.html